風邪の日。
「あ゛ー・・・正月早々風邪ひくとかないわー・・・」
布団を被り、枯れきった声で呟いてみる。
今年の正月はアイツと初詣して帰ってきたらこたつでのんびりするつもりだったのだけれど、薄着で寝たせいか風邪をひいてしまったらしい。
声はがらがらで枯れきっているし、熱いし、怠いし。
「あ゛ーあ゛ー・・・だめだ、声出ない゛ー」
ヴーヴー。
バイブ音が鳴り手探りで携帯を開くとアイツの名前が出てる。
「もしもし・・・」
「今からお前ん家行こうと思うんだけど・・・・・・ってお前、声どうした?がらがらじゃね?」
「風邪ひいたのー。熱いから冷やしてー」
「人を冷却用品にすんな!・・・熱は?何度か分かるか?」
「ん゛ーん゛ー。無理」
「無理ってあのなー・・・。とりあえず行くから寝てろ」
「でも散らかってるし・・・」
「気にしねーよ。見舞いで行くんだから大丈夫だ」
「えー・・・でもー・・・」
「っだぁもう!俺が行くまで動くな!」
ブツっと切られため息をついてまた布団にもぐり直した。
数分して鍵で玄関を開け階段を上がる音が聞こえた。
ガチャ・・・
「・・・布団から出て来い」
「やだ。寒いもん」
「しゃあねえな・・・・そのままでいいからなんか食いたいもんは?」
「・・・・手料理」
「わかった、とりあえず雑炊つくるわ」
「・・・早く、ね?」
「はいはい」
「・・・ほら、出来たぞ。」
「・・・・・」(ぎゅううううっ)
「どうした?」
「一緒に、食べたい・・・」
「ん、一緒に食おうな」(なでなで)
「えへへ////」
「ほら、あーん」
「ん・・・・美味しい」
パッと顔を上げるとアイツは嬉しそうな顔でそうだろ?って笑った。
あたしはそんなアイツに初詣に一緒に行けなかったことを謝った。
「ごめんね・・・初詣行けなくて。せっかくお正月だし一緒に過ごせるのに風邪で行けないなんて・・・」
「いいよ、お前が風邪ひいたからこうして見舞いに来れたし。初詣はまた来年にしよう。な?」
「うん・・・ありがと////」
「よし、そうと決まれば早く寝て治してまた一緒に出かけよう?な?」
「むー・・・添い寝はー?」
「俺に風邪をうつしたいのか?」
「そうじゃないけど!一緒に寝たい・・・」
「わかったよ。一緒に寝よ」
「うん!」
風邪ひいちゃったけどこれはこれで幸せ、かな。