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金木犀-キンモクセイ-
私の名前は神無月 莉緒。
今、すごく機嫌が悪い。なんでかって?こいつのせいです。
「りーおー」
「うっさい!さっきからなんなの!?少しは…」
「これ!」
渡された小さい包み紙を何気なく受け取る。
「…なにこれ」
「まあまあ開けてみなさいよ莉緒ちゃん」
言われた通り開けてみると、中には小さなくまのマスコットが入っていた。
「これ…私が欲しいって言ってたやつ…!どうして?」
「どうしてって…お前が欲しいって言ってたの知ってたから…だからあげなきゃって」
照れくさそうに笑う彼を見たらいつの間にか私は泣いていた。
「おい…大丈夫か?莉緒!?」
「ひっく…大丈夫…っ…私…あなたが好きです…っ…」
「…俺も好きだ、莉緒。だから、付き合って下さい」
「…っ…はい…」
二人を包むように辺りには金木犀の香りが漂っていた。