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桜、
桜は儚い。春が過ぎたらすぐに散ってしまって、無くなってしまう。
だから、春はキライだ。
「ねぇ!君!」
「…はい?」
呼ばれて振り返るとスーツを来た青年が立っていてにこにことしていた。勧誘だったら嫌だなと思い、私はスタスタと歩き出す。
「待ってよ!」
「勧誘なら結構です!他を当たって下さい」
「待てって!」
同時に腕を掴まれて、抱きしめられる。
「なっ…なんなんですか!離し…」
「俺は、お前にずっと会いたかったんだよ!だから、こうして戻ってきた。」
「えっ……?」
怒るのも忘れて、私はきょとんとした顔で彼を見つめた。
「ただいま。ずっと待たせてごめんな?俺、この二年間、お前を迎えに行く為に頑張ったんだ。やっとそれが終わってお前を迎えに来れた…」
「……ほ…んとに…?」
「ああ、ほんと」
にっと子供みたいに笑う彼。二年前と同じ、笑顔。
こうして笑ったのを見たのは久しぶりで、外見は少し変わったものの、声はあの頃と同じで。
知らず知らずのうちに私は泣いていた。
泣くなよーなんて笑う彼は私を抱きしめた。
春は桜が散るからキライ。だけど、あいつに会えたから、スキ。