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プロローグ

長いです。プロローグなのに。

もはやもう、プロローグじゃないんじゃない?みたいな。


どうか、見放さないでください。お願いします。

宙に浮いた蜀台が、城の広い広い廊下を照らす。

廊下の端と端に同間隔で、銀色の鎧と兜を被った兵士が立ち並ぶ中。

その真ん中を、つかつかと何の遠慮もなく歩く、一人の女がいた。


全身を青いローブで覆い隠し、その手には何やら大きな革張りの本を抱いている。

頭まですっぽりと青いフードを被っているせいで、その顔は垣間見ることが出来ない。

只分かるのは、フードの隙間からチラチラと見える彼女の銀色の髪が、

蜀台の光を受けてキラキラと光っていることだけだった。



城の廊下の真ん中を、王族でもない女が堂々と歩く。

彼女が通り過ぎる瞬間、両端で番をしている衛兵たちは、

まるで一国の王を相手にしているかの如く膝まづいた。



やがて、早足で廊下を歩いていた足を止めた彼女。

すっと見上げれば、今まで見えなかった彼女の紅い透き通った瞳が、

広い廊下に突如として現れた、金の紋章で飾られている巨大な扉を映した。


「・・・・・・デンダ」


左手を扉に翳して女が呟けば、見るからに重たい扉が

ギィィと低い音を立てて開き始める。

その重たい扉が全部開き終わる前に、彼女はまた早足で扉の向こうへと歩いて行った。






******




「ザクノン。よく来てくれました」

「女王様。この度は、おめでとうございます」



宙に浮いた蜀台だけが光を灯していた、先ほどの薄暗い廊下とは一変。

今度は、明るく光る魔術が込められたいくつもの玉と、歴代の王の肖像画。

部屋の真ん中には、女王を護る魔獣である番犬が、

ザクノンと呼ばれた全身青ずくめの女を出迎えた。


豪華絢爛の部屋で、今度はザクノンがひざまずく。

相手は、この国の王女、ソフィー王女だ。

ブロンドの長い髪に、まだ10代である証の、白く透き通った張りのある肌。

半年前に、夫であるヴォルザンド王子を病で亡くし、未亡人であった彼女は、

この度身ごもっていた、子どもを出産したのだ。


しかも何と、男と女の双子を。


綻んだ表情の王女は、ザクノンに向かい顔を上げなさいと口を開く。



「ザクノン。顔を上げなさい。あなたを呼んだのは、相談があるからなのです」

「・・・・・・なんでしょうか?」



言われた通り、ザクノンが王女へと顔を上げる。

すると女王は、今まで綻ばせていた顔を、急に固いものへと変化させた。



「この度出産した双子なのですが、少し気にかかることがあるのです」

「気にかかること、ですか?」

「はい。一人の右腕に、黒い紋様が浮かび上がっていて」

「黒い紋様?」

「そうなのです。トンジェ」



女王が、部屋の隅にあるカーテンの向こうへと声をかける。

すると、紫色したカーテンがスッと開き、中から一人の赤子を抱えた、女の姿。

トンジェと呼ばれた彼女は、ザクノンも良く知っている女王のお付きの者だった。



白い女中の恰好に、肩まである二つのおさげを揺らして、赤子を落とさぬよう、

おぼつか無い足取りで、こちらまでてくてくと歩いて来る。



「女王様、王子様でございます」

「ふふ、良い子だ」


トンジェから赤子を受けとると、女王はザクノンに見える様、おくるみの中から、

赤子の右腕を取り出した。

その右腕を見て、ザクノンが息を止める。



・・・・・・竜。黒竜だ。


右手の甲に向かって頭があり、肩に向かって尻尾が伸びている。

刻印というよりは、まるで生きているかのように浮き彫りになっており、

その目は閉じられていた。


手首から肘までにも満たない、ごく小さなモノであるが、ソレは確かに竜。

ドラゴンだった。


ザクノンのただならぬ様子を悟ったらしい女王が、重たい口を開く。



「そなたも、気付いたであろう?」

「・・・・・・」

「これは、三百年前。この世界を支配した、魔王。ウォンザ・ドロスと同じ刻印だ」

「・・・・・・はい。間違いありません、女王様」

「では!この子は、魔王の生まれ変わりなのか!?」



女王がいきなり上げた雄たけびに、今まですやすやと眠っていた王子が、

声を出して泣き始めた。

甲高い赤子特有の泣き声に、ザクノンが静かに目を閉じる。



ウォンザ・ドロス。

三百年も昔、闇の力を振るい、魔獣たちを従わせ、

人々を恐怖に陥れた闇の帝王。

その右腕には黒竜が浮かび上がり、誰も太刀打ちが出来なかったと言い伝えられている。


茶色い継ぎはぎの布を見に纏い、剣を一本背負っただけの、謎の勇者。

ノクロス・グロリアが現れるまでは――――――



ザクノンはゆっくりと目を開き、女王の腕の中にある王子を見つめた。

王子の右腕から感じる僅かな魔力に、きゅっと唇をかむ。



「女王様。この件につきましては、後日最良の方法をお伝えしたいと存じ上げます」

「・・・・・・何か、手はあるのか?」

「はい、女王様。最良の手が」


ニヤリと、右上に上がる、ザクノンの口角。

その様に、女王は只ならぬ何かを感じた。

王子を抱きしめる手に力を込め、しっかりと胸に抱く。


「では、女王様。ごゆっくり、お休みください」


素早く立ち上がり、ザクノンは不敵の笑みを浮かべたまま、

王室を後にしたのだった。





******





「王子を殺すのです。今すぐに」


王室から離れた、だだっ広い中庭で、ザクノンが言い放った。

女王から王子の秘密を告げられてから、三日後の事だ。


城の衛兵に物騒な事を告げている彼女の表情は、またもや青いローブのせいで、

窺い知ることは出来ない。


ザクノン・オーストルド。

王族に使え、若くして政治を取りしきる魔術師である。

魔術師は、その不思議な力から人々から敬遠され、

気味悪がられる事もザラだったが、

彼女ほどの魔術力となれば、城で仕える事も当然の事であった。


貴族の生まれでも何でもないザクノンだが、その魔力の高さや聡明さから、

人々は尊敬し、王族並みの扱いを彼女に施した。


常識では考えられないザクノンの命令に、彼女に跪く兵士は、

何事かと目を丸くする。



「ザ、ザクノン様!王子様を殺すとは、反逆罪に値します!いくらザクノン様でも、その様な事は!」

「魔王の力を持つかもしれない、赤子なのです。この国の脅威となり得ます」

「し、しかし・・・・・・」

「殺すのです。分かりましたか?」



彼女のか細い声は、冷たい氷の様だった。

意志とは相反して、衛兵の頭が上下に動く。


背丈もそんなには大きくない、ただの女。

それなのに、鎧を身に纏い武装している衛兵は、

心臓を鷲掴みにされている様な錯覚に陥ってしまう。


顔も見えないザクノンに一礼し、自分の持ち場へと戻って行く衛兵。

ザクノンは衛兵を見送ると、いつも持っている革張りの分厚い本を

空中へ放り投げた。

翡翠色をしたソレは、重力に逆らうかの如く、宙でピタリと止まる。



「私以上の力を持つ王族など、いらぬ」



ザクノンが右手を翳すと、どういう訳か光り始めた本。

フラッシュの様な眩い光に、彼女の顔が照らし出される。


パラパラと勝手にページがめくられ、それはやがてあるページで止まった。

まっ白いページに浮かび始めたのは、緑色した文字。



『竜が宿りし新たな王。邪悪なる魔女を滅ぼすであろう』



浮かび上がった内容に、ギリっと唇を噛みしめるザクノン。

そのまま彼女が翳していた右手を下げると、光を失った預言書は、

腕の中へと再び戻って来た。



「必ず、しとめる」



憎しみのこもった声。

邪悪なる魔女とは、紛れもなく自分の事だろう。

誰に聞かせるわけでもなく呟かれた彼女の言葉に、歴代の王たちの巨大な石碑の

後ろで身を潜ませていた一人の少女の肩が、ひっと飛び跳ねた。



トンジェ・マートン。

女王の幼馴染であり、お目付役の彼女は、

物ごころつく頃から女王を見守って来た。

女王の夫であるヴォルザンド王が亡くなり、生きる気力を失いかけた女王を助け、

励まし続けたのも彼女であり、王女の一番の理解者だと自負している。


そんな、大切な存在である女王の子供が暗殺されると聞いて、冷静でいられる筈がない。


(じょ、女王様に知らせなくちゃ!)


いつかはこの国の王となるお方を、殺させるわけにはいかない。

トンジェはザクノンに気付かれぬよう、白ひげをたっぷり蓄えた王の

石碑の後ろから、なるべく静かに駆けだした。





*******




「女王様、大変でございます!王子の身が!」

「どうしたのです?」


王室であるにも拘わらず、ドタドタと慌ただしく扉を開けて来たトンジェに、

双子たちをあやしていた女王が、反射的に振り返った。


それに伴って、番犬であるゾークも、おもむろに立ち上がる。

犬と言ってもその体は大きく、大人三人は軽く背中に乗せる事が出来る。

灰色の毛並みに、賢そうな鋭い目。

一番に女王に懐いているこの番犬は、尻尾を左右に振りながらトンジェにすり寄った。


しかしそんなゾークに対応する事もなく、トンジェが王女に詰め寄る。


「つい先ほど、庭の掃除をしていましたら、大変な事を耳にいたしまして!」

「大変な事?」

「ザ、ザクノン様が、王子を殺せと!」

「・・・・・・え?」

「王子を殺せと、命令なさっていたのであります!」


耳を疑う、トンジェの言葉。

女王は思わず、じっとトンジェの顔を見つめてしまう。


(ザクノンが!?)


信じられない。女王にとってザクノンは、城の行く末を一緒に良い方向へ変えようと

取り組んできた、唯一無二の存在。

絶大な信頼を寄せていた彼女だからこそ、あの不可解な竜の刻印の事を話したというのに。


あまりの事に、ふらりと女王がふらついた。

倒れそうになった女王を、慌ててトンジェが支える。

トンジェの事は、昔から知っている。彼女が、このようなデタラメを言う筈がない。


女王は、信じがたい気持と共に、トンジェの手にしがみついた。


「トンジェ、一生のお願いです。王子と共に、城を出て」

「え、じょ、女王様!?何を仰っているのですか!?」

「王子を助けて。トンジェ。これは女王としてではなく、友達としてのお願いよ」

「じょ、女王様・・・・・・」

「今回の事がなくても、きっとあの子は、魔王の邪悪な力を持った王族として、

世間に受け入れられないでしょう。それならばいっそ、違う場所で生きて欲しい」

「ですが!私が女王様のお傍から離れるわけには!」

「私だって、トンジェがいなくなるのは、心細い。でも、我が子を助けたいのです!」


真剣な、女王の瞳。

自分の手を握る女王の手が震えている事に気づき、息を呑んだ。

顔を上げれば、仲良く二人で眠っている双子。


トンジェはゆっくりと女王の手を離すと、右腕に竜の刻印が浮かび上がっている

赤子を抱きかかえた。

そして、力なく座り込んでしまっている女王へと振り返る。


「女王様。この子は、邪悪な子なんかじゃない。心優しい子に決まっています」

「トンジェ・・・・・・」

「証明してみせます、私が!数年後、大きくなったこの子と、必ずまた城に戻ります」

「ありがとう、トンジェ!」


女王は立ち上がると、トンジェが抱いている我が子の頭を撫でた。

そして、自分がしていたネックレスを、その子の首にかける。


「母はいつでも、あなたを思っています」

目に涙を溜め、女王はもう一度我が子を抱きしめた。

もう、二度と会えないかもしれない。

それでも、愛する子を生きながらえさせるため、女王は身を引き裂かれる

思いで、王子をトンジェへと引き渡した。





******



こんなに心臓が張り裂けそうな思いは、金輪際二度とないだろう。

トンジェは、衛兵たちがひしめく中庭を、王子を抱えながらどう

切りぬけようかと、無い知恵を振り絞って必死に考えていた。


「う~。何回シュミレーションしても、失敗に終わる」


運動神経は、皆無に等しい。ましてや、腕の中にはまだ首も据わっていない

赤ん坊がいるのだ。

気を抜けば、涙が一気に溢れてしまうだろう。


うだうだと考え悩んでいると、段々兵士たちの動きが慌ただしいものに変化した。

きっと、王子がいなくなった事が判明したに違いない。

そう思った瞬間、より一層のプレッシャーがトンジェを襲う。


「ふ、ふぎゃぁっ!!おんぎゃぁっ!」

「な!お、王子、お静かに!」


状況は、最悪。

何の前触れもなく大声を上げて泣き出した王子に、必死にあやすトンジェ。

そもそも泣きたいのはこちらの方なのだが、今はそんな事思っている場合じゃない。

だがしかし、あやせばあやすほど、大声が中庭に響き渡る。


「貴様!そこで何をしている!?」

「見つけたぞ!王子だ!」


ついに、トンジェと王子に銀の剣が突きつけられた。

兵士の大声に、次から次へと集まってくる城中の兵士たち。

トンジェは王子を抱えたまま、ヒクリと口を引き攣らせた。




******



「ザクノン様!王子がいなくなりました!」

「・・・・・・」



色々な魔術本や、城の記録書。国同士の交易関係の書類。

それらが犇めくザクノンの部屋に、血相を変えた兵士が入って来た。

書類にペンを走らせたいたザクノンの手が、ピタリと止まる。


「つい先ほど、王室の中へ兵を率いて突入した所、女王様と王女様しかおらず・・・・・・」

「そう、ですか」

「いかがいたしましょう!?」

「まだ城の外へは出ていません。探すのです」

「はっ!」


兵士が敬礼をし部屋から出ていくと、ザクノンは机の上にある水晶へ手を伸ばした。

右手を翳せば、水晶の中に霧が立ち込み、やがて王子を抱え兵士たちの様子を

窺っている、トンジェが映し出される。


「・・・・・・こざかしい」


言葉とは裏腹に、ふっと笑うザクノン。

相手は、何のとりえもない女王付きの女中。相手になりもしない。

ザクノンはある呪文を唱えると、再び書類へとペンを走らせた。


******



トンジェは、自分の不甲斐なさに、はらわたが煮えくり返っていた。

女王から託されたこの子を、殺す訳にはいかないのだ。


突きつけられた剣に、兵士を睨む。

しかし赤子を抱えた女中に兵士が怯む筈もなく、突きつけていた剣を

振りかざした。


「ザクノン様の命により、処刑する!」


ビュっと風を切った音に、トンジェは腕の中にいる王子を庇う様にして抱きしめる。

しかし、予期していた衝撃と痛みが一向に来ない。

恐る恐る目を開けると、ぽたりと自分の腕に何か滴り落ちるのを感じた。


「ゾ、ゾーク!?」

「グルルルルルル」


ガタン、と兵士が持っていた剣が地面に落ちる。

宙ぶらりんになった、兵士の体。

巨大な犬に頭から噛みつかれた兵士は、ゾークの口から力なく垂れ下がっていた。

見れば周りの兵士たちも、力なく横たわっている。


「お、お前。助けに来てくれたの?」


トンジェがそう問えば、ゾークが頭を縦に振る。

咥えていた兵士を力一杯ブン投げ、自分の背中に乗るようトンジェを促した。






******




「逃がすな!追え!」

「あーもう!しつこいなぁ!!」


ひゅんひゅんと、矢やら何やらが次々に襲いかかってくる。

トンジェは王子を落っことさない様、大切に抱え、必死にゾークにしがみついていた。

物凄いスピードでゾークが走るせいで、息が苦しい。

しかしこれを乗り越えなければ、王子を助ける事は出来ないのだ。


剣を構え襲い来る兵も何のその、ゾークは斬りつけられながらも足を止める事は無かった。

兵士たちをなぎ倒しながら、走り抜けるゾーク。


「やったわ、ゾーク!もうすぐ城門よ!」


トンジェの目に見えて来た、城を抜ける城門。

これで助かったと胸を撫で下ろした瞬間、今まで軽快に走っていたゾークが、

城門に差し掛かった所で、弾き飛ばされるように吹き飛んだ。


当然背中に乗っていたトンジェも、地面へと振り落とされる。

只ならぬ衝撃で尻もちをついたが、力強く王子を抱いていたおかげで、

子どもにケガはなさそうだ。


何が起こったのかと、激痛に耐えながらトンジェは城門を見上げた。

すると、うっすらと薄緑色のシールドの様なものが。


「結界・・・・・・?」


途端に、トンジェの顔が青ざめる。

ザクノンだ。ザクノンの仕業に違いない。


振り返れば、自分たちを追ってくる兵士たち。

倒れたまま、ピクリとも動かないゾーク。

堪らずトンジェは、だんだんと結界に向かって手を打ちつけた。


「お願い!解けて!私は城を出なくちゃいけないの!この子を助けなくちゃいけないの!」


一心不乱に打ち付けるが、ザクノンが張ったシールドは、ピクリともしない。

後ろから、兵士たちが迫り狂う怒号。

恐怖に駆られたトンジェは、一心不乱に叫んだ。


「お願いよ!ここを通して!お願いだから!」


その時、今まで泣きやんでいた王子が、再び声を上げて泣き始める。

ハッとして、王子を覗き込むトンジェ。

すると、王子の右腕に刻まれた竜が、ドクンと波打った。


「これまでだ。大人しく、王子をこちらに渡せ」


すぐ後ろで、兵士の声。しかしトンジェは、王子の波打つ竜に目を奪われていた。

見向きもしないトンジェに、兵士たちが痺れを切らす。


「渡せと言っているのが、分からないのかーっ!」

「ぅぎゃあああああああああっ!」


兵士たちがトンジェに襲いかかった瞬間、気が狂った様に王子が泣き出した。

ドクドクドクドクドク・・・・・・

竜の波打つ振動が速くなり、ついに。


閉じていた竜の瞳が、見開いたのだ。


黒い光が王子へと稲妻のように落ち、そしてそれは拡散する様に周りへと飛び散った。

凄まじい衝撃で辺りへと飛んでいく光に、兵士が次々と倒れる。

そして、ザクノンがしかけたシールドまでもが、割れる様にして粉々に砕けてしまった。


信じられない光景と出来ごとに、王子を抱いていたトンジェは、ただただ目を丸くする。

一体今の短い時間に、何が起こったのだろうか。


「これが、魔王の力・・・・・・」


思わず呟いた言葉に、トンジェはハッとする。

何を言っているのだ。この子は、王女の子供だ。

決して、呪われた子なんかじゃない。


恐怖で震える手にぐっと力を入れて、トンジェは城門を飛び出した。




それから16年。誰も二人の消息を知る者は、いない。






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