因果は巡る
和也が目を開けると、見慣れた自分の部屋だった。時計を見ると、異世界で過ごした時間に比べ、現実世界ではほんの数時間しか経っていないことに気づく。胸の奥には異世界での記憶が残り、心がざわついていた。
家に行くと、いつもの食卓と家族の顔があった。普段は当たり前だと思っていた光景も、今の和也には新鮮だった。思わず小さく声が漏れる。
「ただいま……ありがとう」
家族の笑顔に、胸がじんわりと温かくなる。
翌日、学校に行くと、和也は少し勇気を出して教室の扉を開けた。
隣の席の人に話しかけ、困っているクラスメイトを見つければ手助けをする。
ぎこちなくても、以前のように人を避けることはなくなっていた。
勉学にも取り組むようになった。つまずくこともまだあるが、少しずつ理解できる問題が増えてきた。
異世界で培った集中力と、地道に努力を積む習慣が確かに生きていることを感じた。
放課後、校庭で空を見上げる。柔らかい夕日の光が、教室の窓から差し込む。
和也は、異世界での孤独や挑戦の日々を思い出す。
失敗や挫折もあったが、すべてが今の自分を形作っていることに気づく。
「逃げずに、考えて、行動して……少しずつでも前に進めばいい」
小さく息をつき、拳を握る。
現実世界での日常は、異世界のように劇的ではない。だが、目に映るすべてが、今の自分を育む舞台だと感じられた。ゆっくりと、しかし確実に、和也の日常は変わり続ける――成長も、少しずつ積み重なっていく。




