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夜桜みる夢。恋花火。  作者: 楡崎夏芽
38/40

恋人以上。

杏奈は、翔が好き。どんな事をしても、手に入れておきたい。好きで好きで、翔の気持ちが離れたと、判っていても、離れたくなどなかった。もしかしたら、凛と仲良くなっているかもしれない。女性の多い社内で、翔の話題が出た事があった。自分以外に女がいる。それは、もしかしたら・・・。杏奈の勘が告げていた。

「凛さん?」

凛に恋してる。間違いない。それは、紛れもなく、不倫。大切な翔が、そんな危険な恋に苦しんでいる。自分なら、翔を幸せに出来るのに。凛には、家庭がある。子供もいる。居ても、立っても居られず、何度か、凛のマンションに出掛けていった事がある。遠くから、凛のベランダにかかる洗濯物を見た日もある。凛の子供らしき姿を見かけたことも、何度かある。こんな許されない恋に翔は、身を投じている。

「翔・・。」

杏奈は、たまらなかった。昔のように、翔がほしい。

「一度でいいの・・。」

杏奈の怪しい雰囲気に翔は、気付いた。

「杏奈。駄目だよ。」

背にまわる杏奈の手を押しやった。

「俺には、好きな人が出来たんだ・・。」

「それでも、かまわない。翔。あたしをかわいそうだと思う?」

「思わないよ。杏奈。君は、魅力的だし、若い。俺なんかより、もっと、いい奴が現れる。」

妹のように、可愛い。そう翔は思った。恋人だった。だけど、いつしか、杏奈の思いは、翔に重荷になっていた。

「翔がいいの。」

翔に顔を見上げた。何度も、唇を重ねた。それが、目の前にある。

「翔でなきゃ・・。駄目なの。」

「杏奈・・。」

杏奈がいじらしい。一度でも、好きになった女性だ。嫌いでも、憎い訳でもない。ただ、恋人では、いられないという事だけ・・・。

「恥かかせないで。翔。」

杏奈は、翔のシャツの中に、手を押し入れた。それを、黙って、翔は、押し戻した。

「どうしてなの?翔?あたしが、あいつと、キスしたから、怒っているの?」

「違うよ。杏奈。俺達・・。終ったんだろう。俺は、一緒にいたい子ができたんだ。」

「そうなの?」

杏奈の動きが止まった。

「ごめん。これが、答えなんだ。杏奈の幸せは、俺が一番、願っているから・・。」

「いや!」

「杏奈。気持ちは、変えられない。」

翔は、凛への気持ちを杏奈に告げようと思っていた。

「いずれ、判ると、思う。俺は、あの人と一緒になる。」

「不倫でしょう!」

杏奈は、大声を上げた。

「叶う筈ない。相手には、旦那様や子供だっているのよ。それに、年上でしょう?翔?どうして、そんなリスクのある人好きになるの?」

認めたくなかった。

「好きになったから・・。杏奈。判るだろう?好きになったら、傍に居たいという気持ち。俺達だって、最初そうだったろう?」

残酷だが言った。

「わかるけど・・。」

翔の目を見た。いつもと変らない目をして、杏奈を見つめていた。いつもなら、ここで、キスを交わし、翔は抱いてくれた。でも、もう、それは、起こらなかった。

「もう、終わりなの?」

「そうだよ。おわっているんだよ。」

穏やかな翔の声だった。

「あたしは、翔が好き。だから・・。翔?」

翔の心には、もう、凛しかいない。もう、杏奈の心を受け入れてはくれない。それが、身にしみて、わかった。

「その人に、振られたら、あたしの事、思いだしてくれますか?」

「いつだって、杏奈の事は、思っているよ。恋人には、なれないけど、大切な人だよ。」

恋人には、なれない。そう聞いて、杏奈の両目から、涙が溢れ出した。

「わかった。」

翔が優しく、杏奈を抱きしめた。それは、兄のように優しい温もりだった。

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