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夜桜みる夢。恋花火。  作者: 楡崎夏芽
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過去にしよう。

自分は、ハンドルを握ると、今まで起きていた全ての事が、過去になる。

凛は、そう暗示をかけていた。今まで、翔と一緒にいた自分は、過去となり、先ほどまで、一緒にいた場所から、遠ざかるにつれ、一人の子を持つ母親にと、なっていた。

「ずるいかな・・。」

翔に、魅かれている。それは、時間を重ねれば、かさねる程、翔への、思いは、募り、現実から、凛を、遠ざけていった。子供も夫もいる現実。ほんの、ちょっとの、興味で、翔との、時間を、過ごしていった。ただ、楽しいという気持ちに、溺れ、昔の自分に、戻っていった。でも、今なら、引き返せる。翔との、関係に、まだ、溺れないですむ。ずるい言い方を、すれば、このまま、口を、拭ってしまえば、何事も、なかったように、過ごす事が、出来る。

「今日だけ・・。」

そう、キッカケは、夫と、一緒にいた女性の姿が、原因だ。あれが、なかったら、きっと、すぐ、翔とコンサートに行って、帰ってきた筈。ドライブなんか、行かなかったし、あんな事もしなかった。

「やっぱり・・。ずるいよ」

それは、理由だ。夫の事が、なかったとしても、自分は、立場を忘れ、翔に魅かれている。でも、それは・・。

「マズイ事。」

・・・だ。今なら、まだ、引き返せる。取り返しのつかない事になる前に。誰かを傷つける前に。そして、自分自身を、傷つける前に。

「でも・・。」

杏奈と翔の事が、気になるのは、何故だろう・・。自分は、もう、引き返せないほど、翔へ、気持ちが、傾いてしまったのだろうか・・。

「まさか」

自分は、翔より、遥かに、年上なのである。まして・・・。杏奈とは、それ以上に、年上では、ないか。

「キスぐらいで」

よくある事だから・・。キスなんて。凛は、今まで起きていた事を過去の事にするべく、車を加速させていった。

「もう、逢わないほうがいい・・。」

凛は、そう思い始めていた。








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