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21 プエルガの港町

「分かりました。今の女神さまはコルネット様ですね!」


突然ベールズ男爵は意識を取り戻した。

気持ちを切り替えることにしたらしい。

女神アイリーンの事がよっぽどショックだったのだろう。


「約束の金貨はこれで足りるだろうか?」


ベールズ男爵は、革袋に入った大量の金貨をロペスさんに差し出した。


「こんなに?よろしいのですか?」

「まさか、本物の女神さまに会えるとは思っていなかった。これ以上ない幸運だ。いくら払ってもおつりがくるよ」


コルネットに会ったことで機嫌が良くなったらしい。

現金な人で良かった。




屋敷を離れるときにお土産まで頂いてしまった。

コルネットが気に入ったので甘いクッキーが袋に入っている。


「あとは、こちらの店で荷馬車の中の物を下ろすだけですな。本日は色々と有難うございました」


僕らは荷物を下ろすのを見ているだけでいいらしい。

ロペスさんにサインをしてもらい依頼終了となる。

冒険者ギルドへ行ってサインしてもらった紙を提出すれば完了だ。


「ここから王都へ戻らないといけないのか…遠いな」

『一瞬で行けるけど?わたしの転移魔法で』


女神の魔法は規模が違うらしい。


「転移魔法って…大魔法使いが研究していて未だに実現できない魔法のはずでは…」


フェミニアが呟く。

どうやら普段から魔法の研究をしているらしく、先ほども古い本を集めるために色々としているようだった。


僕たちはプエルガの店で荷物を下ろすのを見ていた。

数名の店の人が運び出すのを手伝っている。

すべて終わったところにロペスさんが書類にサインを書いてくれた。


「また何かありましたら、よろしくお願いします」




   *




ロペスさんと別れ、僕たちは港町を歩いていた。

折角、海に来たのだから、何か美味しい物でも食べたい。

焼き魚とかお刺身とか。


「良さそうな食堂無いかな?」

「やっぱり海ならではの料理が食べたいわよね」


内陸部に行くと新鮮な魚が食べられない。

現地で食べるしかないのだ。


「寿司なんて無いだろうな~」

「何それ、異世界の料理?」

『スシ?』


しばらく歩くと、食べ物屋さんが見えたので入ってみることにした。

ガヤガヤ…。

独特の熱気が店の中を占めていた。

見ると男性客が多く、みな体つきが引き締まっていて凄い。

海で働く男たちのようだ。

メニューを見ると魚料理がメインのようで、ここなら魚が食べられそうだ。


「ん?」


何故か視線を感じる…。

最近も似たような感じあったような。

男どもの嫉妬の視線が僕に注がれていた。

そういえば今日も女性を二人連れていた。


「ここでもか…マジか…」


料理は楽しみだけど、食べたらさっさと店の外へ出て行こう。

長く居たらロクなことにならない気がするし。

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