表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/43

01 異世界召喚された

僕は立河たてかわ 颯太そうた15歳、中学三年生で来年は受験を控えていた。

二学期になり、最近妙に疲れていてイライラしている。

暑い夏のせいか、勉強疲れだろうか。

イライラしているのは僕に限った事では無いけど。


歩いて家に帰るまでが暑くてしんどい。

家が学校から近かったら良かったのに。


「そういえば最近小説読んでないな…ちょっとだけ読んじゃおうかな」


異世界物の小説でアニメ化したやつ。

遅まきながら買って読んでいた。

受験なので読むのを控えていたのだ。

少しなら親にバレないだろう。

ほんの数分だけ。


考え事をしながら歩いていたら、歩道に突っ込んでくる自動車に気が付くのが遅れた。

辺りが光でまぶしくなり思わず目を瞑った。


「え?」


衝撃が無いからどうやら車にはねられたわけでは無いらしい。

ゆっくりと目を開けてみる。


夕方だったはずなのに昼間になっていた。

周りは自然豊かな場所。

木が生い茂っていた。


「あれ?住宅街に居たはずだけど…」


目の前をぷーんと小動物が通り過ぎる。

トンボ?じゃないな。

金髪の青い目をした小人らしき物が目の前を飛んでいた。


妖精ってこんな感じだろうか。

透明の羽が背中に付いていた。

手で目をこする。

見間違いじゃない。


「妖精?」


妖精は振り返って僕を見た。


『あら?召喚したのは少年じゃないの…重い感情を背負っていると思ったら…』


「ここはどこ?家の近所じゃないみたいだけど…」

僕は目の前の妖精に話しかける。


『わたしが貴方を異世界召喚しました。心の奥では異世界に来たがってましたよね?』


「は?」


異世界召喚?

夢じゃないよね?


『先ずは自己紹介を。わたしはコルネットこれでも一応女神です』


小さくて妖精かと思ってたら女神だった。


「僕は立河たてかわ 颯太そうたソウタでいいよ」


『ソウタですね。この世界の住人では魔法が使えるのが普通なんです。大体の魔法を使えるようにしておきますね。収納魔法アイテムボックスも付けときます』


よく分からないけど、魔法が沢山使えるようにしてくれたらしい。

コルネットの両手が光り、ふんわりとした感覚が僕の体を包んだ。


『これで魔法が使えるようになったはずです。それと異世界人なので元々の魔力が無いから…大気から魔力を取り込めるようにしておきますね。あと言葉が解るように言語理解の魔法もかけときます』


魔法を使える実感が無いけど。

試しに何か使ってみようか。

僕は風魔法を使ってみることにした。

頭の中でイメージをしてみると言葉が浮かんできた。

どうやら難しい呪文を言わなくても発動できるらしい。


「『風よ』」


目の前に小さい風の渦が発生した。

クルクルと木の葉が舞っている。


「わっ!本当だ!」


本当に魔法が使えるんだ!

僕はウキウキしていた。


『あ、それと…この世界のお金を持ってますので良かったら使ってください。宿に泊まるのに必要でしょうから』


コルネットが見えない所から貨幣を出した。

収納魔法アイテムボックスだろうか?

貨幣には幾つか種類があるようだ。


僕は女神からお金を貰った。

近くの町までコルネットが案内してくれる。

随分ずいぶん親切な女神だ。


一時間ほど歩くと町が見えてきた。




   *




今日泊まる宿を借りた。

階段を上がって二階へ。

ベッドと机と椅子があるだけのシンプルで小さい部屋だ。

僕はベッドに座り寛いでいて、コルネットは僕の肩に止まっている。


ここはスミットという町らしい。

僕は素朴な疑問を口にする。


「ところで女神さまはお家へ帰らないの?」


コルネットはためらいがちに言った。

『わたしが召喚しておいて何ですが、ソウタ大丈夫ですか?顔色が随分悪いですよ?』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ