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スケルトン 2

 ロープを掴んでゲートをくぐり1階に出るといつもより人が多い。しかもこちらを指さし何やら話している。




「なんだ、生きてるじゃねえか」 人混みの奥からギルド長のカシフが現れた。




「あれ? ギルド長がダンジョンに居るなんて珍しいですね」




「お前の所の奴隷が『ご主人様がダンジョン内で遭難した!!』ってギルドに駆け込んできたから、こうして手の空いてる奴で今から探しに行くところだったんだがな……」




「え? そうだったんですか? わざわざギルド長にまで出て貰ってすいません。でも遭難したおかげで珍しい喋るスケルトンを捕まえる事が出来ましたよ」




 俺はロープを引っ張って陛下をゲートから引きずり出す。




「こらこら、そんなに強く引っ張るものではない。おお皆の者、出迎えご苦労。余がモナネ王国、国王ヴィルヘルム5世である」




 ……………………。




 探索者ギルドの皆は固まっている。どこから突っ込んで良いか解らないのだろう。気持ちは良く解る。




「おい! これはどういうことだ?」 さすがギルド長。いちはやく混乱から回復したようだ。




「見てのとおり捕まえて奴隷にしたんですよ。今から奴隷商館に行って首輪を付けて貰います」




「いやいや、これスケルトンじゃねえか。町に入れさせないぞ」




「まあそう言わずに許可してください。彼は私の奴隷なんですから大丈夫ですよ」




「お前の奴隷はそんなのばっかりだな……。しかしそれで今までに問題を起こしたことはないか…………」




「そうですよ。このスケルトンにもガンガン働いて貰います」 




 ギルド長は悩んでいるが、この感じだと町に入る許可が出そうな気がする。陛下は何か文句を言うかと思ったが、空気を読んで今は黙っている。元王様だけあってか、やはり賢い。ここに登場した時の王様発言はどうかと思ったが黙っていてくれそうだ。




「解った。お前も探索者ギルドの一員としてギルドに貢献してくれているからな。今回は俺も奴隷商まで一緒に行ってやろう。それでちゃんと奴隷の首輪を付けるのを確認できたら良しとしよう」




「ありがとうございます!」




 何とか許可を貰えたようだ。しかし遭難した俺を助けに来てくれようとしたり、スケルトンの事も俺を信用してくれたりとギルド長のカシフさんは意外と良い上司のようだ。これは探索者ギルドに入って正解だった。




「ほら、行くぞ。お前らはこいつの奴隷にご主人様が見つかったって知らせて来い」 カシフは他の探索者に指示を出して先に歩き出す。




「ところでこのスケルトンは国王だって名乗っていたが、どういう事だ? そもそも何で喋ってるんだ?」




「モナネ王国の王様らしいですよ。亡くなってから転生されたそうです」




「モナネ王国って海の向こうの北の大陸の大国じゃないか……」




「お主は余の国を知っておるのか? 今の王の名も知っておるか?」




「いや、北の大陸とはもう10年以上国交がない。昔は船で交易していたのだが、その海路に魔物の巣ができてしまって、それからは行き来ができなくなってしまったそうだ」




「さようか…………。ここはコルドバ王国だったな。思い出したぞ。余が生きていた時から国交は途絶えていたはずだ。余が死んでから何年経ったのか解らんが、さほど時は経っていないようだな……」




「おい、本当に王様なのか?」 陛下が考え込んでいる間に小声でギルド長が俺に話しかけてきた。




「解りませんけど、話を聞いていると本当の様に聞こえますよ。でも本当だとしても今はただの喋るスケルトンですから関係ないですよ」




「そうかあ? お前は意外と大物だな……」




 話しながら歩いていると町の門に着いた。この門番を突破できるかが心配だったが、今回はギルド長が居るから大丈夫だろう――。




 案の定、門番に止められたがギルド長が責任を持つと言うとすんなり通してくれた。なかなか頼りになる上司だ。




 奴隷商館に着くと奴隷商人のディーンが出迎えてくれた。




「これはマコト様とカシフ様。当店へお越しいただき、ありがとうございます。本日はどの様なご用件でしょうか?」




「今日は喋るスケルトンを捕まえたので、また私の奴隷にして貰おうと思ってやってきました」




「このスケルトンがですか? 本当に会話が出来るのですか? 失礼ながら信じられないのですが…………」




「なんだ余を疑うと言うのか? その辺のスケルトンとは違う事ぐらい見れば解るだろう? 王の威厳が溢れ出しているからな」




 偉そうな事を言うスケルトンがチラチラとこちらを見ているが、もちろんロープにつながれたスケルトンから王の威厳は見当たらない。特にフォローの必要もないだろう。




「確かにしゃべりましたね。内容は良く解りませんが、スケルトンの王なのでしょうか? ワイトキングという魔物なら聞いた事ありますが、見た目が違うような…………」




「なんと無礼な……。余はモナネ王国、国王ヴィルヘルム5世であるぞ」




「モナネ王国!? 確かにあの国の王はヴィルヘルム家でしたが、しかしずいぶん前から国交は途絶えているはずです。どうやってコルドバまでやってきたと言うのですか?」




「陛下は亡くなられてから転生されたのです」 話が進まなくなりそうなので会話に割り込んでみる。




「ちなみに陛下はモナネ王国に帰りたいと希望されているのですが、可能ですかね?」




「航路がすでになくなって10年以上たちますので、北の大陸まで行ける船も人もいないと思います。行き来できれば貿易で大儲けできるのですが、成功したものはいません。もしかしたら向こうにたどり着いたものは居るのかもしれませんが、誰も戻ってきていないので解りませんね」




「さようか……」 陛下は帰れないと聞いてショックを受けてうなだれている。骨だけになっても周りに感情は伝わるものらしい。かなり寂しそうだ。




「陛下、今は無理でもそのうち行ける様になるかもしれませんから、気長にやりましょう。とりあえず首輪を付けて堂々と町を歩けるようになりましょうよ」




「おい、首輪を付けても1人では歩かせるなよ」




「ギルド長に言われなくても解ってますよ。大丈夫です」




 ディーンさんは納得してくれたのか、何も言わずに首輪を持って来てくれた。俺は首輪を受け取り陛下の首に付けるが光らない?




 確か奴隷になった時には微かに首輪が光ったと思ったのだが――?

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