唐揚げ
買い物を終えて孤児院に着いたのでロレッタを捕まえて、さっそく料理の下ごしらえに入る。
こちらの肉屋では鳥肉を日本の様にモモ肉などの部位ごとには売られていなかったので、自分たちで切り分けなければならない。
確かケ〇タッキーは5部位に分かれていたと思うけど、アレだと大きすぎるからさらに半分が良いと思う。丸どりを縦に半分にして、手羽と足を外して、胸肉とモモ肉を切り分けてそれらを半分に切る。
残った部分も半分に切る。これで1羽を16個に切り分けられた。5羽買ってきたので唐揚げ80個作れるが、足りるだろうか…………。まあ今日はお試しでやってみよう。
ブタちゃんも解体のスキルがあるので、鶏肉の切り分けは手伝ってもらう。ロレッタもきっと料理上手だから料理のスキルを持っているのだろう。
あ、今度ロレッタもダンジョンに連れて行ってパワーレベリングすれば、大幅に料理スキルが上がって今よりもさらに夕飯が美味しくなるかもしれない。身隠しのマントを手に入れた事によって、そんな事も可能になったと思う。
まあ今すぐやらなければならない事ではないけど、余裕が出来たら試してみたい――。
肉を切り分けたら鍋にワイン、塩、すりおろしたニンニクを入れて肉とよく混ぜる。
肉に味が染み込む間にマヨネーズ作り。卵を白身と卵黄に分けて、卵黄とお酢と塩を混ぜる。よく混ぜる。手が疲れるのでブタちゃんに交代して混ぜて貰う。
良く混ざってきたら、ブタちゃんが混ぜている横から俺がゆっくりと油を垂らしていく。ロレッタが興味深そうに俺たちの手元を見ている――。
良く混ざって乳化したら完成。泡だて器がないから大変かと思ったが、意外とすんなりとできたようだ。
「ご主人様、この白いのはなんですか?」
「これはマヨネーズというソースだ。唐揚げや野菜に付けても美味しいぞ」
「今日の夕飯が楽しみですね」 ロレッタも笑顔でマヨネーズを見つめている。
30分ほどたったら、鳥肉にマヨネーズ作りで余った卵の白身をつけて小麦粉を振って油で揚げていく。
カマドで油の温度調整は難しいが音と衣の揚がり具合で見ていくしかないだろう――。
ひたすら揚げ続けて、山盛りの鳥の唐揚げの完成だ!
「凄くいい匂いしますね。美味しそうですね。もう食べてもいいですかね? ひとつくらい良いですよね?」
ブタちゃんが唐揚げを触れんばかりの距離で見つめている。こちらを見ようともしない。俺が何も言わなくても勝手に食べ始めそうだ。
「3人で味見してみようか。1人1つだけね」 ブタちゃんに1つだけだと念を押すと、さっそくブタちゃんは唐揚げを1つ口に放り込む。
「あ、あふい! ご主人様、とても、あふいです」
ブタちゃんが悶えている。揚げたてを丸ごと1個口に放り込んだら、そりゃ熱いだろうな。
俺も食べてみる――。
唐揚げだ! さっぱり塩味だがニンニクの風味が効いていて美味しい。とても懐かしくて涙が出そうだ。これが食べたかった。
「サクっと噛んだ後にジュワっと肉汁がきて、とても美味しいですね」 ロレッタも気に入ってくれたようだ。
マヨネーズも少し付けて食べてみる。コクが増してより美味しく感じる。さっぱり塩味にマヨネーズは良く合う。
「このマヨネーズも美味しいですね。酸味があって旨味も増すのが不思議です」
ロレッタのコメントは料理家みたいだな。やっぱり料理が向いているのかもしれない。
「私もそのマヨネーズを付けて食べてみたいです!」 ブタちゃんがお代わりを要求しているが、却下だ。よく味合わずに1口で食べてしまう方が悪い。
「味見は1人1つだよ。すぐ夕飯にするから、その時に食べてよ」
「では、テーブルを片付けてすぐに夕飯の準備をします!」 ブタちゃんはバタバタと食卓に行ってしまったので、残った2人で片付けをする。
「私だけでも唐揚げ作れますか?」 ロレッタは俺が唐揚げを作るのを良く見ていたが、自分でやるには少し自信がないようだ。
「揚げ物は危ないから、俺も一緒にやるよ。火事になったら大変だからね」
実際、火事は怖い。せっかく手に入れた寝床を火事で失いたくないし、孤児院の院長としても最悪な結末だ。
「そうですね。油で揚げるのは難しそうでした。でもマヨネーズは作れると思います」
「それじゃあ、今日作った分がなくなったら作ってみたら良いよ」 マヨネーズは子供達でも作れると思う――。
今日の夕飯はパンと鳥の唐揚げとサラダ。
唐揚げは子供達やガレフにも好評で、あっという間になくなってしまった。
ブタちゃんはマヨネーズも気に入ったらしく『ゴクゴク飲みたい』と言っていたが、マヨネーズは飲み物ではないのだが…………。




