奴隷 2人目 2
「それじゃあ買い物して家に戻ろう。ブタちゃんはユウを連れて来てね」
「はい、ご主人様。ユウさん私に付いて来て下さい」
ブタちゃんがユウに声を掛けるが反応はない、付いても来ない。
「ユウこっちだ。付いて来い」
やっとユウは動き出した。俺の言う事しか聞かないのか? それだと面倒だな。
「ユウは面倒を見てくれる他の奴隷の言う事も聞いていたので、今のはおかしいですね。そのうち慣れると思いますが、それではマコト様。またのご利用お待ちしております」
別れの挨拶をして奴隷商館から外に出る。
ユウの物を色々買わなくてはいけないが、女性ものを買い揃えるのは難しい。下着とか解らないから、先に武器屋に行こうと思う。
「まずは武器屋に行ってユウの武器を買う。2人とも付いて来て」
「はい、ご主人様」 「……」
前を歩きながら後ろの2人を観察していたが、2人ともちゃんと俺に付いて来ているようだ。
「ブタちゃんはユウを後ろから見張りながら付いて来てくれる? 迷子になられると困るから」
「了解です!」
これでいつの間にか居なくなっているという事はないだろう――――。
少し歩くとすぐ武器屋へと着いた。
さて何を買うかと考えるが、やはり勇者は剣を使うべきだろうと思う。
一応本人にも聞いてみるか。
「ユウは好きな武器あるか? どれで魔物を叩きたい?」
「…………」
やっぱり剣だな! 安いのでいいから剣を持たせよう。
以前ブタちゃんのメイスを買った時と同じ場所にある、どれでも金貨3枚の中から剣を物色する。全て銅の剣だったが、どうやらマジックアイテムはないようだ。
剣の良し悪しは解らないので、適当な奴を買ってユウに渡す。
「これを腰から下げておけ。明日はダンジョンで戦って貰うぞ」
「マモノ……コロス」
「そうだな、魔物を殺そうな」
あれ? さっきまで死んでいたユウの目が、剣を渡してから目に力が戻っている。
そしていつの間にか焦点も合って、1点を見つめているようだ。
あ、ブタちゃんの事を見ている?
「まてまて、ブタちゃんは魔物じゃないぞ。仲間だからな。殺すなよ」
完全にやる気だ。このままでは不味い。
ユウの首輪を掴んで引っ張り、ブタちゃんには近づけないようにする。
「解った! 魔物が居る所に行こう。そこでたくさん魔物を殺してくれ。ブタちゃんは魔物じゃないからダメだぞ」
首輪を引っ張ってダンジョンへと向かう。意外と大人しく付いてくるようだ。
しかしまた絵面が酷い事になっている。美人の奴隷の首輪を引きずって街中を移動するのは辞めた方が良いと思う。周りの視線が冷たい。
「ほら、ちゃんと付いて来いよ」
ユウの首輪から手を放して声を掛ける。どうやら落ち着いたようだ。目の焦点があっていないが大人しく付いてくる。
ブタちゃんは少し離れた所からこちらを伺っている。
「ダンジョンに行くよ」 ブタちゃんに声を掛けると大きく頷いている。
そのまま3人でダンジョンへと入る。何も準備していないが1階なら別に良いだろう。
芋虫を探して歩く。
ゲートの方に行かなければ他の人は居ない様なので、芋虫もすぐに見つかるだろう。
後ろからブタちゃんも付いて来ている。ユウも今はもうブタちゃんの事は気にしていない様だ。
ダンジョンの角を曲がると芋虫を見つけた。
凄い勢いでユウが走り出すと、そのまま芋虫を剣で叩く。2,3回むちゃくちゃに叩くとユウはそのまま奥へと走り去ってしまった。
「あ、ヤバ、ちょっと急いで追いかけよう!」
「はい!」
2人で走って追いかけるとすぐに芋虫の死骸のそばで呆然と立つユウを見つけた。
どうやら1匹目を倒した後に2匹目を見つけてそのまま突撃したようだ。
「はあ、見つかって良かったけど、これは考えていたよりも大変なのかもしれない」
「そうですね。私なんて殺されるかと思いましたよ」
「今のこの感じだとブタちゃんは魔物じゃないと解ってくれたんじゃないかな?」
「そうだと良いのですが……」
「まあ今日はもう帰ろう。いいかユウ、これが魔物だ。ブタちゃんは魔物じゃないぞ。明日も魔物を倒しにここに来るから、それまでは大人しく俺に付いて来るように、いいな?」
「…………」
理解できたのか解らないが、大人しく後ろから付いて来るようだ。
ユウは戦力にはなりそうだが、扱いは難しそうだ。弱い魔物ならまだ良いが、強い魔物相手に暴走されては全滅の危険がある。
せめて『待て!』ぐらいの命令は聞けるようにならないと危険だろう。




