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町 2

「それではせっかくご来店頂いたので当店自慢の商品たちをご覧いただきましょう。」


 商人は次の部屋に案内しようとしているが、俺はもう金がないと言うか別に買う気がない。


「いや、今日はちょっと他にも行かねばならない所がある。また来るので今日は清算してくれ」 と言って金貨3枚分を払う。


「そうですか? それは残念です。また是非いらしてください。オークの奴隷がいればたっぷり稼げます。その稼いだお金で当店の奴隷を買って、また稼ぎも増やす。素晴らしいビジネスプランです。お客様とは長いお付き合いになりそうです。私はディーンと申します。お客様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


 なんだ? ビジネプランってこっちはプランも何も行き当たりばったりで手持ちも無くなってきたし、先行きがまったく見えてないのだが。


「名前はマコトだが、ビジネスプランとはなんの事だ?」


「マコト様はダンジョンに潜るのではないのですか? この町に来る人間はダンジョンで一山当てようと考えてくる人間が多いですから」


 ダンジョン! さすが異世界だ。


 ダンジョンなら山で動物を狩るよりも儲かりそうな気がする。希望が見えてきた。


「なんだダンジョンの事か、それならプランと言うほどではないが当然考えていた。」


 もちろん初めて知ったが、これくらいは知っていた事にした方が自然だろう。


「マコト様、当店はこの町の奴隷商なので、ダンジョン向きの人材も多く取り揃えております。是非当店でのパーティーメンバーの拡充を検討してください。奴隷以外のパーティーはトラブルの元です。よっぽど信頼できる人間以外とはダンジョンに入ってはいけません。ダンジョン内は治外法権です。特に最近は初心者狩りも多く騙されて利用される探索者が後を絶ちません」


 なるほどこれは危なかったかもしれない…………。


 浮かれた気持ちでダンジョンに行って、入口あたりで『一緒に行かない?』ってパーティーに誘われたら絶対ついて行ってしまう自信がある。


 知らない所に行くのは怖いし、人数多い方が安心な気がするからノコノコ付いて行って殺されてしまったり、何か囮とかに利用されたりするのだろう。一気に悪い未来が見えた。


「なるほど、ご忠告ありがとう。だがまずは二人で低層階を様子見ながら潜るつもりだ。それでもそのうちメンバーを増やす必要が出てくるだろうから、その時はお世話になろう」


「ありがとうございます。お待ちしておりますので是非ともお立ち寄りください」


 そう言って奴隷商人は表まで俺を送ってくれた。


 このディーンさんはビジネスパートナーとしては信頼できそうな気がする。


 目先の利益だけで判断して裏切ったりしなそうだし、俺が良いお客さんでいる限りは役に立つ情報をくれてwinwinの関係を築こうするだろう。


 案内してくれた兵隊さんも流石にもういないみたいだ。一度途中の広場に戻る。


「ブタちゃん静かだけど大丈夫? どこか調子悪いの?」


「いえ、はなしが良く解らなかったので黙っていました。あんな頭良さそうな人と対等に話せるご主人様は凄いです」


「そう? そんな難しい話していたかな」


「これからダンジョンに行くというのは解りました。奴隷にしていただいたので頑張って働きます」


「ブタちゃんはダンジョンに行ったことあるの?」


「ないですね。村の森から出たことありませんので」


「とりあえずどんな所か見に行ってみようか」


 広場でパンなどの食料を買う。ブタちゃんを連れまわしてもジロジロは見られるが特に何か言われたりはしない。


 買い物ついでにダンジョンの場所を尋ねると、入ってきた門の逆側から外に出るとすぐにダンジョンがあるらしい。奴隷商の方に戻ってさらに奥に向かう。


 本当は色々準備を万全にして行くべきなのだろうけど、まだダンジョンで何が必要なのか解らない。


 明かりは必要なのか、地図や磁石はあるのか、日帰りなのか、ダンジョン内で1泊する必要があるのか、何も解らないので取り敢えず入り口付近だけでも見てから考えようと思う。


 危険を冒したくはないが、金を稼ぐことは必要だ。


 この世界で安全に金を稼ぐ方法もあるのかもしれないが、それでは強くなる事は出来ない気がする。


 レベルを上げたりして強くなっておかないと弱肉強食のこんな世界では何かあった時に何も出来ない。


 さいわいブタちゃんという強みを手に入れたので、最大限活用して自分を育てつつお金を稼ぐ。そしてたとえ日本に戻る事が出来なくても、こちらでの文化的な最低限度の生活を手に入れたい。


 など色々考えながら歩いていると門が見えてきた。


 門をくぐる時に門番にまた何か言われるかと思ったが、今回は何も言われなかった。


 出る分に気にしてないのかもしれない。歩いていくとだんだん探索者風の人が増えてきたようだ。


「ダンジョンに行くのか?」


 いかにも探索者という感じの皮の鎧を着た男が話しかけてきた。


 これは早速怪しい。


 このまだダンジョンも見えていない場所での声掛けが、他の奴に獲物を奪われる前に早めにツバ付けましたと言った感じがする。


「お前らダンジョンに行くの初めてなんじゃないか? 俺が案内してやろうか?」


 なんでばれた? どの辺から初心者って解るのだろうか? まあ装備が村人の服だし、ばれてもしょうがないのかもしれない。


「ええ、でもちょっと覗いてみるだけなので大丈夫ですよ」


「いやいや危ないってダンジョン中は何があるか解らないんだから、俺の様なベテランガイドと一緒に入ったほうが良いぜ。もちろんガイド費用は頂くが」


 ガイド? そういう職業があるのか?


「ガイドってダンジョンを案内する職業があるんですか?」


「そうだ、俺の様に昔は探索者だったが、ケガなどで引退してガイドになる奴は多い。ただダンジョンガイドと言ってもピンキリだ。誰でもなれるから自称ベテランが多いぞ。中には初心者を騙そうしてくる悪い奴もいるから気をつけろよな。俺の様に長年やっていると周りも知り合いばかりで、これが信頼につながるんだ」


 そういうとガイドの男は周りに挨拶をはじめる。


 確かに周りの探索者風の人達も笑顔で挨拶を返している。


 知り合いが多いというのは本当の様だ。


「ガイド料金は1階は銀貨1枚でよい。2階は3枚、3階は10枚だ。まあ3階は魔物の数が増えるから、この人数ではお勧めしない。ダンジョン見物なら1階をグルっと回って30分銀貨1枚でいいぜ」


 銀貨1枚なら頼んでしまっても良いか?


 ダンジョン内で色々質問できるし、今日はもともと見るだけのつもりの情報収集の予定だから銀貨1枚で必要な情報が集まるなら良いのかもしれない。


「じゃあその1階のガイドお願いします」


「ほい、まいどありー。ダンジョンはこっちだ。ダンジョン入り口で銀貨1枚をガイド料として頂くぜ」


 ガイドの男は上機嫌に先を歩く。これからダンジョンに入るのか……。


 ガイド付きとは言え緊張してきた。自分のレベルが上がってないか確認しておこう――。


『イズモをパーティーに加入しますか?』

 そうか一緒にいくか誘うとパーティーに入れられるのだったな。


 ガイドのレベルはいくつだろうか? 確認してみよう。


 名前:イズモ

 種族:人間 性別:男

 職業:詐欺師

 レベル:23

 スキル:探知2、ピッキング3、採取2、短剣術4、トレッキング2、潜伏3、話術6



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