獲物を狩る。そして食べる
僕が見事にラファンを討伐したもんだから、それに触発されて後続の新兵さんたちも順調に撃破していった。
大体は首を切って一撃。
少し外れても、剣に魔力を込めているおかげで両断しているので問題は無い。
「ふっ……ふっ……ふぅ……」
「落ち着け。抑えておくから、トドメだけ刺せ」
エルピス君は、初めて魔物と対峙してプチパニックになっちゃった。
小型でも魔物は魔物。僕はあまり感じなかったけど威圧感がある。
今まで人と、それも悪意のない優しい人たちと接していたエルピス君には厳しかったんだろう。
でもこれも訓練。
倒せなかったとしても、命を奪う体験を必ずさせるそうだ。
「そうだ。良くやった。……少し休んでろ」
「はっ……はぁっ……」
「おーし、他のヤツらおびき寄せる前にさっさと絞めるぞ」
魔物に限らず、ぶった切ってはい終わりという訳にも行かない。ちゃんと死んだかを確認する必要がある。
そして動物なら血抜き、魔物なら魔石回収なんかの後処理をする必要があるのだ。
「魔石の位置はだいたい体の中心。ラファンの場合は前足の間から指三本分下くらいだ」
指三本分と言うなんとも微妙な距離。
でも覚えやすい。僕の手は小さいから片手くらい下にして、ナイフを突き刺す。
うへぇ……あまり良い感覚じゃないね。
魔力を使っていない分ダイレクトに伝わる肉の感じ。
皮と筋肉と、真っ直ぐ進まないと骨にもつっかかる。
それを全部くぐり抜けると、骨とはまた違う硬い感触。ちょっとナイフを引いてから、グイッと。
「おぉ……」
「魔物が霧散したら討伐完了だ。砕いた魔石は取っておけよ、証明になる」
本当に消えた。
今まで目の前に倒れてた死体は跡形もなく消えた。手に感じてた温かさはまだ残ってる。
不思議な感覚。
本当に今日は良い体験をした。
きっと忘れないだろう。なんとなくそんな気がする。
「あらかた絞めたな。……よし、じゃあ」
次は何をするんだろう?
あの笑顔はろくでもないことを考えてる顔だ。何となく嫌な予感。
「喰うぞ!」
「……へ?」
と、言うわけで初ウサギ肉。いただきます。
……ふむ。食感は鶏肉に近いかな。筋肉質な感じだったけど、意外と柔らかい。
塩コショウだけのシンプルな味付け。これがなかなかウマい。
ちょっと遠出して、魔物討伐して、その肉を食べる。
うーん。異世界ライフ満喫してる。
まぁ、まだ僕6歳なんだけどね。
魔物は生物なので首を飛ばされたり心臓を突かれたら死にます
そうやって死んだ魔物は消滅せず死肉となって残り、冒険者が素材として剥ぎ取ります
残った場合は腐敗し、周囲の魔力を取り込んでアンデッドになることも
普通の魔物だと魔石にヒビが入ったりするだけで肉体は消滅します
稀に魔石がダメージを負っても生きているモノもいますが……
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