メイドさん事情
小腹を満たして引き続き探索。
街にいるほとんどの人は僕を知っていて、すれ違う全員に笑顔で挨拶されるもんだからもうヘロヘロ。
今まで関わってきた人数をゆうに超えるから人見知りを発動しそうになる。
「あ、ヒカルさまだ!」
子供たちも僕のことをしっかり認識してる。
無邪気な笑顔で寄ってくれるのは嬉しいけど、勢いがあり過ぎてちょっと怖い。
「ヒカルさま、おんなのこみたいでかわいー!」
「うぐっ……」
その言葉は刺さるからやめてくれっ!
だから最近鍛錬に力入れてるのに、未だに周りの評価は女の子みたいなんだよな。
皆に悪気があるわけじゃないのも分かるから尚更悲しい。
毎日鏡見て確認してるけど、顔も体も一向に男らしくならない。……もう少し鍛錬の量増やそうかな。
「ありがとね」
「わたしおとなになったらヒカルさまのメイドさんになる!」
そこはお嫁さんとかじゃないんだ。どっちにしろ申し訳ないし気持ちだけ受け取っておこう。
と言うか、メイドってなりたい職業なのかな。
「元気な子ですな」
「うん。……ちょっと元気すぎるくらいだけど」
「ふふふ。お付きのメイドが1人決まりましたね」
……え、確定?
「メイドってそんな簡単になれるの?」
「領民なら一応なれますね」
「意外と簡単になれるんだ」
「そうでもないですよ。ヒカル様たちは貴族ですから、従える者たちにもそれ相応の裁量が求められるものです」
メイドとしての仕事はもちろん、いざって時の対応も必要になってくるらしい。
言われれば確かにそうか。
「メイドに限らず、貴族に使える者たちは定期的に試験をしたり鍛錬をしてます。新しく従事する時にも審査することが殆どですな」
「グラルドさんとかニャシーさんも?」
「しましたね」
知らなかった。
ほとんど毎日一緒に過ごしてたけど、まさかそんな裏があったとは。
「まあ我々の場合は親の代から仕えてるというのもあって、殆どあってないようなものですがね」
「当主様も温厚ですからね」
「へ~。そんなことが」
雇われと雇い主の関係だけど、家族ぐるみの仲ってのもあるんだな。
話を聞く感じだと僕の家は比較的穏やかと言うか優しい部類なんだろう。他の貴族の様子も気になるな。
かと言ってお茶会に参加したいかと聞かれれば……うーん。
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