僕の本気
「これは、また……凄いですね」
やぁみんな。僕の名前はヒカル。
今は魔法の練習中!
水球って魔法を同時に何個作れるかって挑戦してるんだけど……。
今のところ生成できてるのは、100個くらいかな。
「魔力制御が苦手なだけで、魔法の制御はピカイチですね。これは凄い」
最初の苦戦が嘘みたいにどんどん増やせる。
なんなら数を増やす度に制御がしやすくなってるくらいだ。
「それに、まだ魔力切れの気配がない。素晴らしいですね」
さっきから先生がべた褒めしてくれる。
嬉しいんだけど、リナ先生が嬉しそうにしてると大抵怖いことが起こる。
大量の宿題だったりめっちゃ難しい魔法の練習させてきたり。
いや、出来るよ? 出来るんだけどね? そうとう負荷があるのも事実な訳で。
「限界まで挑んでみましょう。全力で増やしてみてください」
「分かった。……本気で」
本気かぁ。
全力とか出した記憶もない。
どうなるんだろう。少し不安だけど……やってみよう。
水球の個数を増やすのは簡単だった。詠唱は同じで、イメージを変えるだけでいい。
1つから2つ、2つから3つと言う流れで。
本気なら、大量の水滴をイメージすればいい。
「『かくも美しき水の精霊よ 我が歌に答えその滴を零したまへ』【水球】」
「っ!」
イメージは雨。
昔、本気で降ってくる水滴全部を避けようとしたことがある。
頑張って音速くらいで動いても避けきれなかった。それくらいの密度を想像する。
「これは……」
魔法は手から放たれるのが一般的。
これもイメージの問題。
魔法が発動するシステムは僕の体の中にある魔力が空気中の魔素に反応して発生する。
だから別に、理論上はどこからでも魔法を使える。
「できた……」
「凄い……」
合計で、5000個くらいかな?
1つが僕の両手に乗るくらいの大きさの水球が頭上に広がってる。
遠くから見ると本当に雨が降ってるみたいな光景になってるだろう。
「……ヒカル君、まさか」
「うん。これなら結構キープできそう」
これ以上数を増やすのは難しそうだけど、数が増えたからなのか制御がしやすくなった。
数で言えば5000個でも、全部同じ魔法だから制御も同じ。
流れる魔力の量が増えて抑える手間が減った。
これなら体内の魔力が無くなるまで維持できそう。
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ちょっとした補足
ヒカルのいる国で魔法使いと呼ばれる職業の人達が同じように魔法を使った時、同時に出せるのは大体200〜500
職業にするくらいなので制御とかに関しては凄腕ですが数を増やすとなると魔力量が足りなくなります
現時点でヒカルの魔力量は国で1番の魔法使いよりちょっと多いくらいです




