何もしない日って大事だよね
「ぐっ……むう」
水球を使えるようになって数日。
リナ先生から出された宿題は維持、調整、瞬発の3つ。
その最初の宿題で既に立ち止まっている。
水球を発動させることは安定してきて、段々すぐに出せるようになってきた。でもそれを維持するのが難しい。
魔法を維持するには常に一定の魔力を流し込む必要がある。
この”一定”というのが難しい。
魔力を流しすぎると安定せず破裂する。だからと言って流さないと消えてしまう。
どうやら僕は細かな魔力の調整が苦手みたいだ。
「はあ……」
「少し休みましょうか」
「ありがと。おやつある?」
お、クッキーだ。
ニャシーさんのクッキーは本当においしい。今日も癒されるな。
「悩んでいるようですね」
「うん。先生の宿題が難しくてさ」
ニャシーと一緒にいると落ち着く。
まあ6年一緒にいるからね。そりゃ落ち着くか。
ニャシーは”今の僕”のことを何でも知ってる。僕が気付かないことにも気付くくらい。
「少し散歩でもしますか」
「散歩?」
■ロ■ロ■
ということでやってきたのは裏手の森。
護衛の人にも付いて来てもらい安全にお散歩。
森は静かで、こう、癒される。ヒーリング効果ってやつ?
「時折、森を歩くんです」
「すごく落ち着くね」
「ええ。悩みがあっても、歩いてるだけでどうにかなってしまいそうです」
確かに。
最近鍛錬とか魔法とかで頭がいっぱいだった。
こうやって何も考えずにのんびりするってのも悪くないな。
にしても護衛の人強いな。僕たちの後ろにいるけど定期的に魔物を屠ってる。
弓矢か。……ちょっと面白そう。
「もう少し行くと森が開けるんです。そこでゆっくりしましょう」
「うん」
森は静かだ。でも無音な訳じゃない。
葉っぱが風で揺れてたり動物や魔物が動いていたり、自然が溢れている。
ついでに、魔力を込めて辺りを見回してみると面白い。
空気中にあるのは魔素で魔力ではないらしい。だけど見た目にさほど違いはない。
「ふう」
「ほら、少し横になってください」
開けた空間でゆっくりまったり。
たまにはこういうのも悪くないね。
膝枕なんて少し恥ずかしい気もするけど、おしめの世話もしてくれた相手に今更か。
お言葉に甘えようかな。……こうやって何もしないの久しぶりだな。なんだか、眠くなって……。
調子に乗って2話目投稿です
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