ついにちゃんと魔法を使える!
「……ふむ。まぁ及第点ですかね」
あ、あぶねぇ。
この1週間暇さえあれば水魔法初級の本を読み込んだ。
確かにイラストが多くて分かりやすい本だった。でも文字もびっしり並んでた。
これで“比較的”少ない方って……想像するだけでクラクラする。
「この内容を理解していればしているほどより簡単に魔法を使うことが出来ます。軽く読むだけでは補助が足りなくて崩れてしまうんです」
これだけ読んで及第点か。手厳しい。
でもこれでやっと魔法を使える!
「では場所を変えましょう」
やってきたのは僕が住んでいる家から歩いて五分くらいの場所。
特にこれといったものは無い、ただの草原。
これだけ広い場所なら何かやらかしても大丈夫そうだ。
「最初に使うのは水球です。まぁ全ての基礎となる魔法ですね。詠唱は覚えているでしょう? やってみて下さい」
「はい。『かくも美しき水の精霊よ 我が歌に答えその滴を零したまへ』【水球】っ!」
詠唱をすると体の中にある魔力が勝手に動く感覚がある。
そして構えている手のひらから自然に外に流れていって形を成す。
それが魔法を発動する流れ、のはずなんだけど。
「まぁ想定内ですね。最初は失敗するものです」
「あの……ごめん先生」
「平気です。魔法で乾かせるので」
本に書いてあった限りじゃ、水球は手のひらサイズの水の玉を生成する魔法。
なんだけど僕が作ったのは僕らを覆い尽くすくらいに膨らんで、あまりのデカさに驚いてたら破裂した。
破裂した水は重力に従って落下して行き、僕たちをびしょ濡れに。
「これが、魔力量によって比例する魔法のいい例です。本来なら詠唱で出力が制限されるのですが、ヒカル君はあまりにも量が多いのでそれを無視して流してしまうようです」
「それは、良いこと?」
制限に縛られないと捉えていいのか、ろくにコントロール出来ていないと捉えるべきなのか。
この会話をしながら風魔法で服を乾かしている様子を見ると、コントロールは大事だろうけども。
「場合によりますね。魔物を倒す時に手加減なんて必要ありません。ですが日常で使うような魔法になると精密な操作を求められます」
「そっかぁ」
「発動自体はできていますから、あとはコントロールするだけ。原因も分かっていますから早速改善しましょうか」
先生また目が笑ってないけど!
詠唱はほぼ適当に考えてます
一応属性によって少し違ってたり
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