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片手剣のお話



「言いたいことは分かりますよ。安心してください、この速さが出せるのは私くらいでしょうから」


うん、やら安心。ってならないよ。

……と言うかサラッと凄いこと言ったね。誇張だとしても結構な自信が無いと言えないセリフだよ。


「ヒカル様は本当に目がいい。この動きに追い付いているのは相当ですな」

「そうなの? 確かに早いけど、頑張れば追えるくらいだよ」

「なっはは……その発言聞いたら、ウチの者が何人かは落ち込みますよ」


これくらいは見えておかしくないと思うけどな。

団長さんが嘘をつく理由もないし、本当なんだろうけど。

自覚は無いけど僕は目がいいのか。


「それじゃあ始めますよ。片手剣のメリットは主に三つ。刀身の長さ、近距離での扱いやすさ、魔力の通しやすさ」


■ロ■ロ■


「先生、武器に魔力が通せるって本当?」

「……また突然ですね」


グランドさんにみっちり知識を叩き込まれ、まぁ……1割くらいは覚えた次の日。

顔を合わせてすぐに僕はリナ先生にそう質問した。

グラルドさんが教えてくれた片手剣のメリットの1つがずっと気になっていたんだ。

剣には魔力を通しやすい。

魔力は体の中にあるもので基本外に出すことは無いって思ってたからビックリした。


「えぇ、通せますよ。かなり簡単なので出来る人は多いでしょう」

「簡単なんだ」

「イメージの話だけであれば、剣を自分の体の一部と認識することが出来れば通ります」


ほうほう。

魔力は体内にあるものだから、剣を体の一部と認識すれば通るって理論か。

なんか随分無理やりな理論。

結構強引な手段なんだね。


「片手剣は特に、鋳造に使う素材や鋳造方法によってより魔力の通りやすいものに変化すると言われています」

「じゃあ別の武器も出来なくは無いけどやりずらい、みたいな感じ?」

「その通りです」


なるほどなぁ。

確か魔力は全ての人が持ってるものらしいから、簡単さもあって片手剣がポピュラーなのかな。

僕がよく見かける武器は槍だけど。


「槍や棍棒は木材部分の相性によって左右されますが、比較的難易度が高いです」

「え?」

「槍を持つ人が多くて疑問なのでしょう?」

「エスパー?」

「予測ですよ。王都は騎士団のレベルも高く、殺生よりも拘束することを重視するので槍などが使われているんです」


そんな理由があったのか。

すらすら答えてるあたりよくある質問なんだろう。

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