僕ってそんなに危なっかしいかな?
「…………」
無言は苦しいからなにか喋って欲しい。
そんな、頭を抑えて言葉が出ないみたいな動きしないでよ。
確かに悪いのは僕だけどさ。
「事情は把握しました。ですが私も教えられるのは基礎のみです」
「えぇ、構わないわ。この子、放っておくと何をするか分からないもの」
お母さんの視線が痛い。
ちゃんと反省してるってば。
僕がやらかして、書斎が立ち入り禁止にされてから3日後。
リナ先生との授業が終わったあとにお母さんから話があると呼び出し。
僕だけじゃなくリナ先生も呼ばれ、三者面談みたいな感じに。
そこで、お母さんが懇切丁寧に僕のした愚行をリナ先生に話し、安全のために魔法を教えて欲しいということに。
「そういう事でしたら、私が責任を持って“安全”に指導します」
「頼むわね。これ以上息子が自ら危険に飛び込むような所は見たくないから」
うぐぅっ。
その言葉は効くよお母さん。
言い訳すると別に僕は自ら危険に飛び込んでる訳じゃない。
結果を見れば危険かもしれないけど、僕だって安全にやろうとはしてるんだ。
「……君の年で魔法を使う、というのは生身で崖から飛び降りるのと同等です。普通の子であれば身の危険を感じ、自然と回避する行動なのですよ」
「え、そうなの?」
「そうなんです。魔法を使ったのなら分かると思いますが、体内が躍動するでしょう? その感覚に不慣れな子供は発動まで魔力をコントロール出来ません」
あー、なるほどね?
つまり僕はあのモヤモヤが動くことに慣れちゃったから所構わず魔法を暴走させていると。
確かに変な感覚だったけど、面白さの方が勝ってたからなぁ。
「悪く言えば命知らず。ですが、よく言えばそれだけ素養があるのです。安心してください、私がちゃんと指導してあげますから」
「……うん。お願いします! リナ先生」
子供みたいな人だなって思ってたけど、こういう所はちゃんと大人っぽくてズルい。
そうだ、僕はまだ子供だ。
焦らずゆっくり、周りの大人を頼って生きていこう。
話し合いの結果、明後日にも枠を入れて週2日、座学と魔法を教えてもらうことに。
そうそう、あの本は無事だったらしい。
と言うか窓が割れた以外に被害は確認されなかったそうだ。
僕は初級魔法の本を読んだことになっている。
あのごちゃごちゃで僕が何を読んでたかは分からないし、使った魔法がファイアボールだったからそう勘違いしてくれたみたいだ。
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