これはいわゆる魔法というやつでは
はっ、いつの間にか寝ていた。
あの男の子、多分お兄ちゃんの撫でが気持ち良すぎて抗えずに眠ってしまった。
目覚めもいつもより良い気がする。あの撫ではヤバいな。
さて、今日も運動をって……うん?
何か、おかしい。
何が、と聞かれても分からないけど違和感がする。
空気にモヤがかっているというかなんというか。
まとわりつく感じがして不快だ。試しに心の中で『吹き飛べ!』と念じてみる。
…………わーお。
面白いぐらい見事に消えた。
しかもめっちゃ風吹いてる。
「ロ±エШ─З─ϖ!!!?」
突然の事で乳母さんも奇声を上げながらこちらに飛んできた。
こんなに焦った様子は初めてなので、何か自分がとんでもないことをやらかしたように思ってしまう。
怒られそう……いや、僕は赤ちゃんだから笑えば許されるはず。
てことで、えへへー。
「Üロロϖ∬⊿〗!!!₩エ∦㎈.─~Ủ¤!!」
普通に怒られた。
さっきからほっぺに当たる雨みたいなのは多分乳母さんの涙。悪い事をしたかな。
あの後、乳母さんの声に何事かと男の人が飛んできた。
乳母さんはどこかに行ったきり帰ってこない。
男の人はずっと近くで僕を見ていた。
はっきり表情が見える訳では無いけど、多分凄い不機嫌。
顔と態度は不機嫌そうなのに、時折僕の体を撫でる手は随分と優しいのが少し面白い。
ただ男のツンデレは要らないです。
結局あれはなんだったのだろう。
凄く気になるけど、今はそれより眠気が……おやすみ。
■ロ■ロ■
おはよう。目覚めたら乳母さんが戻ってた。
乳母さんはずっと部屋にいるから足音で分かる。産まれた時から耳を澄ませているからなのか、ベッドから床の振動が伝わるからなのかは分からないけど。
乳母さんは露骨に僕の様子を見るようになった。
大丈夫だよ、と笑っても効果は無い。寧ろ笑った後の方が頻繁に見に来るぐらい。
乳母さんを悲しませてしまった。
一度覚えればもう失敗しない。……忘れたら話は別だけどね?
ともかく、もう心配かけさせないようにする。
その為にはちゃんとあのモヤが何がを知る必要がある。
大丈夫だ、問題ない。慎重に、バレないようにすればへーきへーき。
ということで早速。
……あ。
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