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兵士長さんと訓練



「おはよう!」

「おぉヒカル様おはようございます」


今日は護衛さんたちの訓練にお邪魔させてもらう日だ。

僕たちの国には国が保有する騎士団と、領地で結成された騎士団、そしてそれぞれの貴族が保有する騎士、正確に言うと兵士がいる。

騎士団は主に治安維持が仕事で、いわば警察。

貴族たちが保有する兵士たちは貴族の護衛だったり、他の国から攻められたりしたときの予備選力みたいなもので、まんま軍隊。

たまに他貴族の反乱を抑制したりにも使われていて、戦闘に特化してる。

詳しくは知らないけど、うちの兵士さんたちは他に比べて優秀だってお父さんが言ってた。

だから最初は冒険者の人とかに鍛えて貰おうと考えてたけど、兵士さんたちのお世話になることにした。


「ヒカル様も偉いですなぁ。訓練なんて、うちの若いもんはみんな嫌がりますよ」

「みんなは毎日でしょ? 僕だってそれは嫌だよ」

「なっはっはっはっは! それもそうですな」


この笑い方が豪快な人は兵士長のグラルドさん。

うちの中で一番強いらしい。最近ちょっとお腹が出てきてるけどね。

今日はグラルドさんにつきっきりで鍛えてもらう。


「僕なんかに構ってて平気なの?」

「そりゃ当然ですよ。ま、領主様のご子息ってのもありますが、ヒカル様には才能があるんでね」

「才能?」


そんなものあるのだろうか。

そもそもいつそれを見抜いたんだ?

グラルドさんと会うのってこの前が初めてだけど、あの短い時間で見抜いたんなら凄い。


「ヒカル様は覚えてないでしょうが、六年前にルーク様の訓練を見学したことがあるんです」


そういえばあったな、そんなこと。

あの時のお兄ちゃんもカッコよかったな。


「そん時のヒカル様、まだ幼いのにしっかり動きを目で追ってましてね。いやぁあれは驚いた」

「……一応言っておくけどそんながっつりは鍛えないからね?」


僕がやりたいのは筋トレとかの基礎訓練。

素振りとかはしたいけど、あくまでそれまでだ。

それ以上はしない。……絶対。


「なっはっは。そりゃ残念だ。気が変わったらいつでも教えますからね」


しない。絶対だからね!


■□■□■


つ、疲れた……。

二日連続で疲労困憊だ。

昨日は頭の使いすぎ、今日は体の使いすぎ。


でも、へとへとまで運動するのもいいな。

疲れもあるけど、それ以上になんか爽やかな気分だ。

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