団長さん
「誕生日おめでとう、ヒカル」
「ありがと!」
この頃のお兄ちゃんは成長期でぐんぐん背が伸びてる。
顔もキリッとしてきて、いよいよ国宝級のイケメンになりかけている。
「へぇ、このガキンチョが例の……」
「紹介します。この子が僕の弟、ヒカルです。ヒカル、この人は青旗騎士団の団長、エルブロさん」
「よろしくなガキンチョ」
「よろしくお願いします!」
言葉は少し荒いけど優しそうな人だ。
名前の通り青い髪。お兄ちゃんとは違ってかなり明るい色だ。それに着ている装備にも所々に青色が入ってて綺麗。
と言うか体が大きい。今まで見てきた中で一番のガタイの良さだ。
団長ってことは、この人がお兄ちゃんを騎士団にスカウトした人なんだよね。
「ふむ……」
にしても顔が怖い。ただでさえ怖いのにこっちを凝視してくるから尚更。僕じゃなきゃ泣いてる。
「6歳でこの魔力量。確かに凄いな」
「まりょくりょう?」
「うん? おい、ルーク……まさかとは思うが」
団長さんの問いにお兄ちゃんは無言でニッコリ。その様子に団長さんは絶句。
いまいち状況が分からないけど、僕またなにかやらかしたのかな?
「制御ぐらい教えてやれよ」
「それが出来る実力の魔法使いなんて中々いませんよ。それにヒカルはまだ6歳ですから」
「あ……そうか」
ますます分からない。制御ってなんだろう。
お兄ちゃんはニコニコ笑顔だけど、団長さんはさっきから顔が七変化。
「はぁー、末恐ろしいなこのガキ」
「ね? 優秀でしょ」
「優秀なんてもんじゃないだろ……」
お兄ちゃんが頭を撫でてくれる。
よく分からないけどやった。
「ガキ……ヒカルだったな。手出しな」
「?」
団長さんが手の平を向けてるからその上に僕の手を乗せてみる。
でも大きいなぁ。
ってうわ!
「っ!」
ビックリして思わず手を弾いちゃった。
今のは何だろう。モヤモヤが急に動き出した感覚があった。
「それが魔力だ」
「まりょく……」
このモヤモヤは魔力だったみたい。
そうなんだ、って気持ちとそうだろうな、って気持ちが半々。
なんか魔法っぽいこと出来てたし。
「本来なら、学園やらに通って教えてもらうべきものなんだが……お前さんはもう魔力が開花してる」
ほうほう。つまりもう魔法が使えると?
これはちょっとワクワクしていたな。
「魔力があれば魔法が使える。使えてしまう」
団長さんはじっと僕の顔を見てこう続けた。
「力に振り回されるなよ」
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