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お兄ちゃん!



結局、前に並んだぽっちゃり親子はそれ以上絡んでこなかった。

それからは何事も無く、いよいよ僕たちの順番。

様子を見てた感じだと本当に適当で良いらしい。


「お招きありがとうございます」

「ありがとうございます」


先ずは僕らから挨拶。軽く会釈をするだけ。


「うむ。今日は存分に楽しんでくれ」

「ありがとうございます。では、これで」


終わり。

……早い。


形式ばったものも嫌だけど、ここまで簡単だと不安になる。

だけどお父さんが言うにはこれが普通らしい。

招かれた側が挨拶をする。招いた側はそれに返して、はい終わり。

互いの爵位に関係なくこの方法らしい。


「王家の方が来た、なんてことが無い限り夜会での立場は主催が上だ」


国の頂点に立つ人々だから当然と言えば当然だね。

でもそんなことは滅多にないらしい。


「王族や王室の方々は含まれない」

「ややこしいね」

「いずれ学ぶさ。それより、これからどうする?」


挨拶が終わればあとは自由らしい。

子供同士で友好を育むもよし、親を混じえて社交を学ぶもよし、とのこと。


「お兄ちゃんに会いたい」

「……相変わらず、ルークが好きなんだな」


そりゃもちろん。

前世じゃ一人っ子だったからなのか、今の僕にとってお兄ちゃんは物凄く大切な存在。

自分でも不思議なくらいだ。

晩餐会に来た理由はお兄ちゃんに会うため。

だから早く会いたい。


「室内警備だからすぐに会えるだろう。左腕に腕章をしているはずだ。それを目印にするといい」

「分かった!」


分かりやすいけど、もっと良い方法がある。

僕がさんざん振り回されたあのモヤモヤを使えばいい。

このモヤには幾つか種類がある。観察して気付いたのはこのモヤには量や色といった特徴があること。

お兄ちゃんのモヤは見慣れている。

目にモヤを寄せて、ちょっと集中して見回してみれば……いた!


大人はちゃんと避けてくれるし、子供たちとぶつからないように気をつけていればあっという間だ。


「お兄ちゃん!」

「ヒカル!」


お兄ちゃんは大人の人と壁際にいた。

学生服に腕章、そして腰には剣を装備している。正装姿のお兄ちゃんはいつにもましてカッコいい。


真面目でキリッとした顔が、僕を見つけた途端ふにゃっとなるのも魅力の一つだ。

誤字脱字などあれば教えてください

感想お待ちしております!

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