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定期的に不安になるやつ



いやぁ、見事に女の子だった。

僕的にはちょっとショックだな。


ま、まだ赤ちゃんだし。

これから良い男の顔になると信じてる。うん。

にしても、改めて僕って小さいな。

当たり前だけど、赤ちゃんだ。


階段も登れない小さな足に、スプーンを掴むのがやっとの手。

丸みのある胴体に乗っかっている大きな顔。

髪はお兄ちゃんと同じような黒っぽい色。ちょっと青みがあって、どちらかと言うと紺色に近いかな。


保護欲をくすぐるような可愛らしい見た目。

その中身は元高校生の男。


高校生、だったんだよなぁ。

時たま感情の制御ができないし、体は完全に赤ちゃん。

前世の記憶もうっすらあるだけだし実感が薄い。


今の生活が楽しいのもあるだろう。

お兄ちゃんや乳母さん、そしてお母さん。他にもたまにしか合わないけどメイドさんとか執事っぽい人。

皆、とても優しい。

この幸せな空間で過ごしている今という時間がとても平和で、和やかで暮らしやすい。


前世だって不幸じゃなかったけど、こういう幸せを感じた記憶は少ない。


少し前から、この世界でどう生きるかに悩んでいた。

生まれ変わったところで、何か成し遂げたいことも無い。

理不尽に殺されたのはそりゃ不満だけど、前世に未練があるかと言われればノーと答える。


今のままが続けばそれが一番幸せかもしれない。

家族と、優しい人達に囲まれて、穏やかに暮らす。

異世界を見て回りたい、そんな気持ちもあったけど、この暖かな感覚の中にいると冒険なんて危険なことは避けたい気持ちが湧いてくる。


正直、よく分からない。

自分が何をしたいのか、何をするべきなのか。

心の中には拭えない違和感がずっとあって、それから目をそらすために必死に目的を探している。



「ヒカル、どうかした?」

「にに……」


お兄ちゃんに心配をかけてしまった。

大丈夫だと伝えたいけど、今は上手く笑えない。


「……大丈夫だよ」


お兄ちゃんが優しく包んでくれる。

とても暖かい。

今こうされると、ちょっと泣きそう。


「心配しなくてもいいんだよ。僕が守るから」

「にに……」


最近、前にも増して涙脆い気がする。

込み上げてくる感情を抑えられないのは困るな。

でもまぁ、今は思いっきり泣こう。


優しくて暖かいお兄ちゃんに包まれて、僕は多分心の底から泣いた。


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