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本当に初めまして



それからまた、ちょっと暇な時間が過ぎた。

定期的に外に出たり、相変わらずお兄ちゃんに絵本を読んでもらったり、バレない程度にモヤで遊んだり。


程よく楽しくて、暇じゃないけどあっという間でもないそんな日々。

唯一変化があったものと言えば、ご飯が全部離乳食になったことくらい。

離乳食の味は普通でなんとも。

お乳を飲む恥ずかしさが無くなるのは嬉しい。

ちょっぴり寂しい気もするけどね。


最近は少し、絵本にも飽きてきた。

だいぶ前に夢の中で女の子と出会って、そこで言葉を教えて貰った。

その後しばらくは文字を読むのも苦労したけど、今じゃスラスラ読める。


だから絵本だとちょっと読み足りない。

イラストや色があるのはとてもいいけど、何度も読んでいるとちょっと飽きてくる。

出来れば本が読みたい。



■ロ■ロ■



「…………」

「……」

「…………」

「……」


この状況はなんだろう。

あ、おはよう。


今僕の目の前には二人の老人がいる。

皺は沢山あるけど逞しさみたいなのが滲んでる男女。それが物凄い顔で僕を凝視してる。

無言の圧で顔を背けることも出来ない。

なにこれ。


「似てるな」

「似てるわね」


ようやく口を開いた。

似てるって誰にだろうか。そもそもこの人たちは誰だ。


「……お義父さま、ヒカルが混乱してます」

「む?おぉ」


ようやく目の前から顔が無くなる。

声のした方を見るとそこにはお母さん。いつもよりオシャレしてる。

お父様、ということはこの人がおじいちゃん。


「久しぶりだな。元気そうでなによりだ」

「お義父さま方もお変わりないようで」


親子だと言うのに堅苦しい。義理の方なのかな。

でもちゃんとオシャレしてビシッと挨拶をするお母さんの姿はとてもカッコイイ。


「いやしかし、似てるな」

「何がです?」

「ヒカルだよ。両親にそっくりだ」


おじいちゃんは僕とお母さんを交互に見て、ニカッと歯を見せて笑う。

その言葉を聞いて一安心。

お母さんはとても美人。お父さんに顔は数えるくらいしか見たことがないけど、イケメンだった気がする。

その二人に似ているのだから、僕がブサイクということは無いだろう。


結構気になっていたから、それが分かってちょっとホッとする。

これで安心して鏡が見れる。

いつぞや、強盗みたいな人に女の子と間違われた時から自分の顔は気になってたんだ。


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