平和って暇だよね
おはよう。
お兄ちゃんを遥かに上回る撫でスキルですぐに寝てしまった。
最近は撫でられて寝ることも無かった分、効き目が凄かった気がする。
目が覚めて、しばらくは普通の生活だった。
いつも通りの生活で、外には出ない。
ただ一つ変化があったのは、家の中を歩き回るようになったこと。
靴を履いて歩く練習。
それと、少し聞こえてきたのは魔素酔いに慣れさせる狙いもあるんだとか。
だからなのか、歩くのはいつも一階。
家の周りを歩くことはあったけど、家の、自分の部屋以外を歩くのは滅多に無いから新鮮な気分だ。
一階には応接間や食堂、居間などがある。
僕の体が小さいのもあると思うけど、一つ一つの部屋が大きい。
装飾も細かくて、素人目でも意匠が凝らされているのが分かる。
こういう所でこの家の大きさを実感する。
ファンタジーの世界の貴族そのまんま。
この体、意外と体力が無い。
少し歩くと息が上がって、立つのがままならなくなる。
座り込んだらそれが終了の合図。
だいたいはお兄ちゃんに抱っこしてもらって部屋に戻る。
部屋に戻ったらいつも通り。
本を読んだりお兄ちゃんと遊んだり。
そんな日々がだいたい二週間くらい。
今日はお見送りの日。
お姉ちゃんが学校に行くらしい。
やっぱり長期休暇だったみたいだ。
なんだかんだ毎日部屋に来てくれて、最後の方は普通に遊んでくれた。
ようやく仲良くなれたと思ったら離れ離れになっちゃうのは少し悲しいな。
「気を付けてね」
「うん……」
家族揃ってお姉ちゃんを見送る。
お父さんがいるのは珍しい。
外でのお見送りなので僕は乳母さんに抱っこしてもらっている。
馬車に乗り込むお姉ちゃん。
目が合ったので、行ってらっしゃいの意味を込めて手を上げる。
「あい!」
「うん、行ってくるね」
ゆっくりと走り出した馬車が見えなくなるまで皆で見送った。
■ロ■ロ■
平和な日常。
…………。
……………………暇だ。
目新しいものが無い。
今まで、なんだかんだと定期的に変化があった。
首を動かせるようになったり魔法を使ったり、寝返りを打ったり言葉が聞こえるようになったり。
変化があって楽しかった。
でも最近は目立った変化が無い。
歩けるようになったし、喋れるまでにはもう少し時間がかかる。
どうしたもんかな。
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