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やっぱり僕のせいらしい



良く分からないけど、僕が直接の原因じゃないらしい。

それが分かっただけ一安心だ。


「例えば、昔から不意に魔法を発動させたり、無意識のうちに魔力感知を使っていたり。そういったことが無い限りはたまたま魔素の濃い部分に触れただけでしょうな」

「不意に魔法を発動させたり……」

「無意識のうちに魔力感知」


この流れはマズイ。

お兄ちゃんもお母さんも、男の人の言葉ですぐに僕を見る。

なんで、僕は悪くないはずじゃ。


「ま、そんなことが出来る子供なんてそうそういません。この話は忘れて頂いて結構です」

「そんなに珍しいんですか」


頼む、そのまま矛先をずらしてくれ。

このままじゃまた僕が視線だけで責められる!


「そもそも魔力というものを自力で見つけることはほぼ不可能に近いです。それに、普通なら命の危機を感じて止めますから」

「へぇ」


あ、これはダメなやつだ。

もうお母さんの視線が痛い。


別に僕だって死にに行った訳じゃない。

たまたま、気になったから念じてみたら風が出てそのまま意識を失ったりしただけで……言い返せないな。


「命の危機を感じても構わず魔法を使ったの、この子は」


ごめんなさい。

いや、その……そこまで感じなかった、訳でも、なくは、ない……。


ただ怒られるだけならまだいい。

そこに悲しみや心配が混ざると申し訳なさもあって、途端に罪悪感で潰されそうになる。


「なんと、本当に赤子の身で魔法を使ったのですか」

「はい。それも一回ではなく何度も」


ついには男の人が絶句してしまった。

今更だけどこの人はお医者さんなのかな。


「……そう、ですか」


男の人が僕をじっと見つめる。

そんなに見つめられても困るんだけど。


「流石はエクスウェル家、ですな。素晴らしい」


突然褒められた。

喜んだ方がいいのかな。


「魔法を使ったということは、それだけ魔力の制御が不安定ということ。何がきっかけとなるか分かりませんから、十分気をつけて」


そう言って男の人は部屋を出た。

部屋には居心地の悪い沈黙が流れる。先生に怒られた時の教室みたい。


「……」

「はぁ……」


お母さんがため息を吐く。

怒られる子供の心境がよく分かる。気まずい。


「無事で良かったわ」


頭を撫でられた。

怒られるものだとばっかり思っていたから、その不意打ちにビックリする。

僕を撫でてくれるお母さんの顔は穏やかで、怒ってなさそうなのは安心だな。


……この撫で、お兄ちゃんよ、り……つよ、い……。

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