目が覚めると、ここはどこ?
暗い。
ここはどこだろう。
遠くから物音が聞こえてくる。
段々と──
『∣∣∃∩⇔∃∦∇∂¬!』
『₢+±<Å∬』
『¤∂¬+◇∩.”!』
随分久しぶりに感じる呼吸をすると、霞みがかった視界の先で何やら音がする。
全く聞き取れないけど多分会話している。
流石に息が苦しい。
吸っても吸っても足りないみたいだ。それにしてもさっきから赤ちゃんの鳴き声がする。早く宥めてあげないと。
『ЬЗЫЩ⊇⊃』
どうやら僕に話しかけているらしい。でも言葉が分からない。聞こえずらい。
そして物凄く眠い。抵抗する気も起きずに僕はまた意識を手放す。
■ロ■ロ■
再び目が覚めて、それから多分だいぶ経った。
寝て起きて寝て起きて寝て起きて、その繰り返しの日々は死にそうなぐらいに退屈だった。
ようやく頭と心が落ち着いてきたので、改めて現状を振り返ってみよう。
僕の名前は影山 輝星。
学校に通う普通の高校生。
覚えているのは、トラックに突っ込まれて飛行機に衝突されて、挙げ句の果てにビルの倒壊に巻き込まれて死んだ。
そして目が覚めたら知らないどこか。
僕は確実に死んだ。それは本能的に理解している。
だとするとここは死後の世界。でも僕は呼吸しているし沢山寝ている。多分生まれ変わったんじゃないかな。輪廻転生ってやつ?
言葉が分からないから海外だろう。
英語とかなら多少聞き取れるだろうし、それも分からないとなるともしかして中東とか?
まだ謎は多いけどそれはいいや。
さて、この不自由極まりない体では出来ることは限られている。
と言うことで僕はひたすらに運動をしていた。
赤ちゃんの運動はとても単純。足を上下にブンブン、手を上下にブンブン、無我夢中で体を動かすのだ。
ただの赤ちゃんに見える?僕もそう思う。
でも実際にやってみると結構疲れる。
赤ちゃんは体力も無いので直ぐに疲れてしまう。疲れたら泣く。
これも相当体力がいるし、なにより大声で叫び続けるって結構大変。世の先輩赤ちゃんたちの努力には頭が上がらないと実感する日々だ。
この部屋には必ず誰か一人いる。
だから大声で泣くと直ぐに人が来てくれるのは楽だから良い。
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