襲撃者
耳をすます。
やっぱり窓の外らへんから物音がする。
聞こえるのは気になるけど、僕には何も出来ない。
それでも気になるから窓の外を見る。
見えるのは変わらず夜空と月。それと、男の人。
……男の人?
あ、目が合った。
と思ったら窓を割って入ってきた。怖、何。
凄く大きな音がなったけど横の乳母さんが起きる気配は無い。
ビックリしたから泣くかと思ったけど、心は意外と落ち着いてる。
落ち着いてるけど、どうするのこれ。
強盗?
男の人は扉に手をつけて、なんか呟いてる。
上手く聞こえない。
と言うより、僕の知らない言葉っぽい。
「……」
「……」
「……」
「あー」
扉に何かしたと思ったら近付いてきた。
殺されるのかな、とか考えてたらずっと見つめるだけで何もしない。
ずっと無言で見つめられても困る。
ので喋ってみた。
「……恨むなら、貴族の娘に生まれたこと自分を恨むんだな」
「ぃ?」
娘?
いや僕男の子だけど。
困惑する僕をよそに男の人はナイフを構える。
切れ味が良さそうなナイフ。標的は、僕。
「次は幸せに育てよ。じゃあな」
「……」
え、これ僕殺されるの?
男の人が握ってるのはどう見てもナイフ。
その切っ先は真っ直ぐ僕を向いてる。
「ヒカル様! ヒカル様!」
「チッ。気付かれたか」
扉の奥が賑やかだ。
ドアノブは動いているけど開く様子はない。
きっと男の人がなにか仕掛けたんだな。
悪態はついてるけど焦りが無い。
この部屋に入ってきたし、最初から僕が狙われていたのかな。
さてどうしよう。全然殺される実感が無い。
怖さも無い。
だけどこのままじゃきっと死ぬ。
それは嫌だな。
「まぁ、もう遅いがなっ」
『吹き飛べ!』
「んなっ!?」
わ、わーお。
見事に吹っ飛んだ。しかも窓の外に。
どうせならと念じてみたけど、成功しちゃった。
また怒られるかもしれないけど、これは正当防衛だからセーフセーフ。
吹き飛べ、って念じた時ちょっとだけ体の中のモヤが動いた。
あれが魔法なら、やっぱり体の中にあるのは魔力だろう。
間違ってたら嫌だな。
でも魔法みたいだったから魔法ってことにしよう。
しかしこの魔法、凄いな。
念じるだけで男の人が吹き飛ぶ威力。
「ヒカル様!」
「あー」
扉を蹴破って人が入ってくる。
初めて見る人だ。取り敢えず無事だよって返事をしといた。
人が来て安心したのか、魔法を使ったからなのか眠気が。
今日はもう寝よう。
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