表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/170

ニョキっと



……口が痒い。

なんだろう、凄く気になる。


「ヒカル?」


歩く練習の途中。

ほんの少し気になった違和感が一気に広がって、とても無視できるようなものじゃない。


口の中が痒い。

ちょうど歯のある部分……あ。


「もしかして……」


原因が分かった。

乳母さんも分かったみたい。なので口を開ける。


「やはり、歯が生えてきましたね」

「えっ!?」


お兄ちゃんが口を覗き込む。

お乳しか飲んでないから汚くないと思うけど、口の中を見られるのはなんか恥ずかしい。


でもやっぱり。

歯が生えてきたみたいだ。

この体に慣れてきたからなのか、歯が生えている方が違和感が凄い。

異物感と言うかなんというか。痒くて気になる。


「本当だ。小さくて、柔らかそうな歯」

「小さくても立派な歯ですよ。もうそろそろ離乳食ですね」


離乳食!

これは嬉しいな。

今の体は産まれたばかりの赤ちゃん。お乳を貰うのは当然なんだけど、中身は元高校生。

嬉しさとか安心感があったのは否定しないけど、恥ずかしさだってもちろんあった。


だからお乳以外でご飯が食べられるのはとても嬉しい。

ここは異世界だ、どんな食事が出てくるのかとても気になる。

……虫とか出ないよね。

そもそも美味しくない可能性もある。

うーん、楽しみだけど不安だ。


さて、そんな不安は置いておいて。

今の目標はとにかく、歩けるようになること。



■ロ■ロ■



おはよう。

あの後歩きの練習を再開して、そのまま倒れるように寝てしまったらしい。


最近は昼夜のリズムが出来てきたけど、たまにこうやって寝落ちしてしまう。

今は夜。

顔を動かせば、ベビーベッドの柵越しでも綺麗な夜空が見える。

だんだん視界が明瞭になってきて、星も視認できるようになってきた。


この世界にも太陽と月がある。

星の輝く夜の空に浮かぶ月。

知っているものに比べるとかなり大きい。


眠れない。

完全に目が覚めてしまっている。

今動くと乳母さんを起こしてしまうのでじっとしておく。

またモヤでも動かしておくか。


立ち上がれた日からモヤは水飴のような硬さをキープしている。

それ以上硬くならなくなったし、練っても柔らかくならない。

これが何かも分からない。

あの世界にあってこの世界に無いもの、と考えれば思い付くのは魔力とかだけど。

知りたいことは沢山ある。


……ん?

物音がする。足音じゃない。

しかもこの方向、窓の外じゃなかったっけ。


評価やブックマークよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ