表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/170

ぼくの命



どうやら僕は全く信用されていないらしい。

……当然か。

にしても、あれは魔法だったのか。


魔法か、ワクワクするな。

もしかすると体内のモヤも魔力とかそういったモノなのかもしれない。

試したい気持ちはあるけど、流石にもう自重する。

命の危険があるかもしれないって分かったから尚更。


しばらくは歩く練習あるのみ。

っと、この音は。


「やぁ、おはよう。ヒカル」

「ぁい」


来た。お兄ちゃんだ。

声がハッキリ聞こえるようになってからよりお兄ちゃんの魅力が増えた。

心地良くて聞き取りやすい声。

だんだんハッキリ見えるようになってきた顔と合わせて、とんでもないイケメンがお兄ちゃんなのだと実感する。


自分の顔をまだ見たことがないけど、同じようにイケメンなのだろうか。

お兄ちゃんはイケメンで僕はパッとしない、なんて未来がぜんぜん否定できない。


「今日も可愛いな〜ヒカルは」

「うー」

「……そう言えば、もう半年ですね」


半年。

きっと僕が産まれてからの時間かな。


「そっか……」

「ぅ?」


おわっと。

お、お兄ちゃん?

抱き締めてくれるのは弟冥利に尽きるけど、ちょっと苦しいかも。


「ありがとう」

「……」

「生まれてくれて。今日まで生きててくれて、ありがとう」


涙声で、ギュッと僕を抱いてくれるお兄ちゃん。

それがとても暖かくて。

だからこそ、少し申し訳なく思う。


今までの僕は自分の命にさほどこだわりが無かった。

別に死んでもいいや、って心のどこかで思ってた。

当たり前だけど僕はお母さんに産んでもらって、育てられて。

乳母さんにお世話されて、お姉ちゃんやお兄ちゃん。ツンデレ君。

その他にも多くの人に支えられて、大事にされて。


今までとは違う。

この命は僕のものであり、僕のものではない。

僕一人が簡単に手放していい命じゃない。


……こんなにも僕を想ってくれる人がいる。

それがとてつもなく嬉しい。

生きよう。精一杯、元気良く。


「ルーク様、そろそろヒカル様の限界が近いです」

「え? あっごめ、大丈夫?」

「あ゛い……」


生きる決意をした直後に三途の川を見た気がした。

危なかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ