こういう時は結構当たる嫌な予感
「本当にありがとう」
「あんたのおかげで助かったわ」
「いえいえどういたしまして」
無事にドラゴンを吹き飛ばしたちょうどのタイミングでエモルドゥが息を切らして登場。
冒険者さんたちの治療やら休息やらをしっかり取り、今は出口に向かってる最中。
お礼を言われるのは嬉しい。ついでではあったけど人助けは出来る限りしたいとも思う。……でもこの視線に晒されるのは少し勘弁してほしい。
僕に対する若干の恐怖と尊敬、そして凄まじい興味。
バレないようにしてるつもりだろうけど、コイツいったい何者なんだって雰囲気がビシバシと伝わってきてる。
「……改めて自己紹介しますね。僕はヒカル。ヒカル・エクスウェルです」
「付き人のエモルドゥです」
「エクスウェルってあのエクスウェル!?」
「天才集団の集まりって噂の」
その噂どこからっ!?
まあ、お兄ちゃんは学園主席だったらしいし、お姉ちゃんは今も魔塔でばりばり活躍しているらしいから間違いでもないか。
間違いではないけどその言い方、凄い語弊が生まれてる予感。
「ってことは学園に入るのか? ……ん? 学園って中等部からが義務だよな」
「そうですね」
「え、それなら君ってもしかして」
「ヒカル様は今年で12です」
あ、みんな絶句してる。
身体は成長してないわけでもし過ぎてるわけでもない、ごく普通の子供体型だ。
そんな疑うようなことないと思うけどな。
「12歳でドラゴン単体撃破……」
「しかも素手だぞ。貴族なら魔法が使えてもおかしくない」
「これがエクスウェル家か……」
何やら行けない方向に認識されてるのは気のせいだよね。気のせいだよね!
助けを求めてエモルドゥの方を見るけどそっぽむきやがった。
そんなんでちょーっと居心地の悪い時間は体感長く続いて、ようやく出口が見えてきた。
……出口にはそれはまあ沢山の人たち。
ちょっと嫌な予感。
「おい、あんたら!」
「無事か!? 早く来い!」
いったい何があったのやら。
一緒にいた冒険者さん曰く冒険者ギルドのギルドマスターやら上級の冒険者やら凄い顔が勢ぞろいしているらしい。
可能性は2つ。
さっきのドラゴンがヤバいやつだった。もしくは、あれより更にヤバいのがいる。
魔力視でこのダンジョン中を見てるんだけど、どっちの可能性もある。
さっきのドラゴンはダンジョンの一部だ。
僕の目にはさっきとほぼ同じ、だけどさっきより強い輝きのモノが下の方に見えている。
さあ、どうなることやら。
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