いざ挑戦
「ねえエモルドゥ……」
「駄目です。危険です」
くっそ頑固だ。
でももう目の前まで来てるんだ。ここで諦める訳にはいかん。
「ダンジョンというのは危険なのです。いくら簡単な場所とは言え連れて行くことは出来ません」
くっそ。条件は満たしてるのに。
エモルドゥは冒険者登録していてランクはD。
比較的浅いダンジョンであれば冒険者じゃない随伴者がいても潜れるらしい。
いくつかの条件はあるけどどれも僕たちは満たしている。
後はその本人の説得だけ。
「ダンジョンはヒカル様の命を狙ってきます」
「そんなこと承知の上だ。頼むよエモルドゥ」
「ですが……」
この手は使いたくなかったけど、早く試したいこの疼きを我慢できないっ!
ごめんエモルドゥ。
「だったら、命令だ」
「だとしても聞けません」
「また僕より先に気絶することを心配してるの? それだったらエモルドゥが潜れるダンジョンには僕も潜れるってことだよね」
「それは……っ」
「挽回のチャンスを上げる。ダンジョンで僕をちゃんと守って」
あのことをエモルドゥは結構引きずってる。
そこを刺激することはしたくなかったけど僕もここは譲れない。
さ、僕をダンジョンに連れて行ってもらおうか。
「……分かり、ました」
「ありがとうエモルドゥ」
これでよし。
早速この腕輪を試す時だ。
■□■□■
「……本当によろしいのですか?」
「はい、問題ありません」
そろそろこの問答も飽きてくるなあ。
宿で3回、ダンジョン付近で数回、冒険者ギルドで2回。ダンジョンの入り口でもう5回。
道行く人やギルドの人にやめとけだの危険だ、だの。
そんなに僕って頼りなさそうに見えるかね。
「はあ~……そんなに僕って弱そうかな」
「貴族に対する世間のイメージは、あまりいいものとは言えませんから」
「豪華三昧のお金持ち野郎って感じか。心配してくれるだけ喜んだ方がいいのかな」
そりゃ6歳の時からすでに鍛えてる子供の方が珍しいか。
よっぽどの戦闘一家じゃないと。
ま、そこそこの戦闘一家だし6歳から鍛えてるんだけどね僕は。
「ダンジョンの中でも言われたら流石に萎えるけど……」
「ヒカル様が無謀にも挑まれるのは中級ダンジョン。挑戦者も少ないですし、なによりこのレベルの人たちは外見などで人を判別しないでしょう」
「そっか。それなら安心だね、っと」
腕輪を装着。
……ほっほう、なるほどね。
これは楽しめそうだ。
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