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サクッと決着



さて、どうしたものか。

魔法が使えないんならぶん殴るしかないけど、今の体で剣を振るのは正直まだ怖い。

となると、突っ込むのが一番!


「ほっ」

「ぐるあっ」


反応速度は遅め。か、僕が速いか。

うーん、楽に倒せて無双できるのは嬉しいんだけど、今はそれより加減の方法を知りたい。

何かいい方法ないかな。


「ふむ、試してみようか」


盗賊団が使ってた、体の動きを封じる魔法。聞いてる感じ魔法と言うより魔力操作っぽい。

空気中の魔素を魔力を使って固定化するようだ。

それなら僕の周りの空気や地面を固定させれば思うように動けるのでは?


「よっ」


いって。

軽く踏み込んだだけで吹っ飛んじゃった。

ゴブリンキング(僕のサンドバッグ)は……よかった。無事みたいだ。

あれ、エルピス気絶してる? エモルドゥも厳しそうだね。

ごめんね2人とも。もう少しだけ耐えてほしい。


「今の感覚、余計に増してるな」


動きの阻害になるかと思ったけど、むしろバフになった。

自分に掛けたからかな。

体の周りに纏うから防御にもなるし固さを活かして攻撃にも転用できる。

それが分かったのは収穫だ。もう少し体にまとわりつく感じしてみよっかな。


「お、イイ感じ」


身体中を糸でぐるぐる巻きにするイメージ。

これなら体を思うように動かせなくていい感じだ。

これで普通に動いたら……。


「おお、悪くないね」

「がるるぅあっ!」

「そおいっ」


動く分には充分。

威力は、もう少し加減が必要だね。

ま、取り敢えず依頼は達成と言うことで。


「……ん?」


一撃で吹っ飛んだゴブリンキングくんの死体から魔力を感じる。

……嫌な記憶が蘇るなこの感じ。

普通の魔力とは違う、独特の流れ。妙に惹かれる、抗いにくい衝動。

あの時の……魔獣から感じたような魔力。


「これは……」


ゴブリンキングの死体が霧散して中から出てきたのは、腕輪。

漂う魔力からしてこれが元凶なんだろう。

さて、どうするか。


■ロ■ロ■


「大変申し訳ありませんでした」

「いやいやいやいや。いいって、やめてよ」

「ですがっ」

「分かった分かった。それならわがままを1つ聞いて」


こうなるとエモルドゥは面倒くさい。

なにかしら罰を与えるなりしないとずっとこの様子だ。

ちょっと気になることもあるし、重めの罰だけど頼もうかな。


「なんなりと」

「これをリナ先生に渡して。この手紙もね」


ゴブリンキングから出てきた謎の腕輪。

リナ先生なら何か分かるかも。うまくいけば僕の体の制御も簡単にできるかもしれない。

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