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新しいサンドバッグの予感



「ふぅ。スッキリ」

「……はぁ」


いやぁ、そこまで力加減を考えないで動けるっていいね。

久しぶりに動けて満足したよ。

実践に勝る経験無し。今の戦い? でちょっと加減の仕方が分かった気がする。

さて……。


「この人たちどうしようか」

「この場に縛って放置で良いでしょう。次による街で報告すれば回収してくれます」

「魔物に襲われないのか?」

「エルピス。どんな事情があろうと彼らは犯罪者。街の外でどうなろうと我々は関係ありません」


こっわー。

でもそうだよね。体はしっかりしてるし装飾やら武器やらを持ってる。お金が無くて、と言うよりは遊ぶ金欲しさって感じ。

そうじゃなかったら許すのかって、それはまた別の話だけど。

襲われたから反撃した。そして僕たちの方が強かっただけ。

よし、それじゃあさっさと次の街に行こう。

近くで魔物の気配がうじゃうじゃするけど頑張ってね。まだ様子見してくれてるし。


「っのぉ!」

「おっと」


あっぶね。ちゃんと縛ってたのに無理やり突っ込んできた。

ん? なんだこの魔力。


「死ねぇ!」

「…………えい」

「ぶへぁっ」


なんだったんだ今の。

一瞬動きを阻害された。あれも魔法なのかな。

あまりにも縛りが弱すぎて本当に一瞬だったけど。……あの感覚、使()()()()だな。


「ねぇ」

「ひぃぃぃぃ」

「今の、何」


■ロ■ロ■


「本当にありがとうございました」

「当然のことをしただけです。では僕はこれで」


盗賊の彼から魔法のタネをしっかり教えて貰ったあと、街で彼らのことを伝えた。

そしたらそこそこ有名なグループだったらしく報酬を貰っちゃった。まだ討伐が確認されてないから前金だけらしいけど、それでも結構な額だ。

この街に留まるつもりは無いし、残りのお金は盗賊がちゃんと捕まったら自由に使ってね。


「エルピス、買い足しよろしく」

「おう」

「…………さて」


そろそろ出てきてくれないかな。街に入ってからずーっと僕を見張ってる人たち。

エモルドゥは……うん、気付いてるね。僕が言うのも何だけど、どうして見つけられてんの。


「僕に何か用ですか?」

「……貴方に話があります」


あ、そっちなの。

てっきりまた暗殺者の類かと。確かに殺意みたいなのは感じなかったな。

僕に話ねぇ。ちょっと面白そうだ。聞くだけ聞いてみよう。

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