いざ王都へ
前世ではよく、異世界に転生する小説を読んでいた。
そんな小説では簡単に作れるマヨネーズとか馴染み深い米やら味噌やらを発明してそのお金で儲ける、なんて設定を見た事がある。
当時は僕も影響されてマヨネーズの作り方を調べたりもした。
…………でももっと調べるべきことがあっあと今更後悔している。
人が良く通り、定期的に整備されている街道。
そんな街道ですらこんなに揺れるとは! おしりが痛い!
調味料も大切だけど、それよりこの乗り心地を何とかしたい。僕はワープとか瞬間移動なんて使えないし。
使えたとしても根本的な解決にはなってない。僕が使いやすいのもそうだけど、他の人たちも使いやすいほうがいい。
車輪が問題なのかな。それとも道?
それすらも分からないんじゃあどうしようもないか。
「ヒカル様。今日はここで休みましょう」
「うん」
領都から王都までは馬車でだいたい一週間。
その間は野営地とか街で休む。ありがたいことに僕は貴族だから町とかに行くと優遇してくれる。
だから僕たちはそれに思う存分甘えて、沢山お金を使う。
僕らが領地の人々から貰っている税収なんかを街で豪勢に使うことでお金を回す。
それも貴族の務めの1つらしい。
まあ確かに納得ではある。
そんな訳で今回は小さな村にお邪魔してる。
お父さんのおかげで、領地内じゃエクスウェル家の名前はいい印象を持たれている。だから……こうなるのも仕方無い。
「最近村の近くにゴブリンが……」
「雨続きで作物が……」
「馬の様子が変で……」
村を訪問してからずっとこれ。しかもその大半が僕じゃどうしようもないようなものばっかり。
まだ僕は子息ってより当主の息子だから、出来ることは意見具申くらい。それもまだ12歳の子供なんだから聞かれる確率の方が低い。
それでも話さずにはいられないってことなのかな。
「つっかれた~」
「大変そうだったな」
「エルピス」
「いいよ。村の人たちに凄い持ち上げられたからため口の方が嬉しい」
小さな村だから宿屋もない。ってことで村長の家の一室を借りている。
男三人川の字で寝る。エモルドゥは最後まで渋ってたけど。
嬉しいことだけどエモルドゥは忠誠心みたいなのが強すぎる。もう少しラフな関係でいたいんだけどな。
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