表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/170

一旦仲直りの握手



「失礼します」


案内されたのは至って普通の部屋。

机と椅子と大量の資料。会議室とかそんな感じかな。

パスター司祭をはじめとした位の高い人達が勢揃いしている。

みんな表情が暗いぞ。ほら、笑って笑って。


「……先ずは、偉大なる存在に祝福とご挨拶を。そして、不敬な我らの行いに謝罪を」

「…………えっと、一から説明して貰えます?」


話をまとめると、僕の意識が現実世界に戻ってきた時、ヒナタ教のお偉いさんが天啓を授かったと。

ヒナタが気を使ってくれたのかも。

それで本部からこの神殿に問い合わせがあり、嘘をつける訳もなく白状した、との事。

黒髪である僕は忌むべきものだから排除しよう、と考えた。随分あっさり認めたね。

まぁ誤魔化したところで何も出来ないけど。


「我らが主の声を賜った貴方様は偉大なる御方でございます。その命を奪おうなどと……」

「あの程度で死ぬほど弱くないので大丈夫です」


こちとら理不尽なことで死なないために鍛えてるんじゃ。あんな中途半端な暗殺者ごときに殺られる雑魚じゃあ無い。

僕の努力の日々を舐めないでいただきたい。

そんな、ポカンとした顔で見ないでよ。


「では、僕はこれで失礼します。これからはお互いに位置関係を築けることを祈っています」


もう変なことはするなよ、と釘を刺しとけば大丈夫だろう。少なくともこの人たちは黒髪を忌むなんてことはしないはず。

僕の力も戻ってきたし、そろそろ我が家に帰りますかね。


「エモルドゥ」

「はい。馬車の用意は整っています」

「分かった。それじゃ帰ろう」


帰り際になにか喋ってたけど、僕には聞こえない。

聖者でも無いし聖痕なんて無い。そんな面倒事に関わるのはゴメンだ。


■ロ■ロ■


「ただいま帰りました父上」

「……うむ。ご苦労だったな」


僕ももう12歳。日本じゃ中学生になる年齢ってことで、お父さんのことは父上と呼んでいる。

最近呼び始めたからまだお父さんは慣れないらしく、呼ぶ度に微妙な顔をしてる。

……たまにはお父さんって呼んであげるか。


「エモルドゥからも報告があったが、彼らには何もしないと?」

「はい。まだ確実なこととは言えないですけど、僕も得るものがあったので」

「……そうか。ならばこの件はこれで終わりだな」


本当に魔力が戻ってきたのかは、数日経てば分かるだろう。

戻っていれば良し。戻っていなくても……正直どうだっていいな。


感想やブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ