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対応次第じゃ……



さて、部屋で待機しろと言われて待ってるのはいいものの。一向に誰も来ないんだが。

儀式は中断出来ないし、あの様子からして珍しい事が起きたみたいだから混乱するのも仕方ない。

その隙にエモルドゥが色々してくれるだろうから、暫くはゆっくりさせてもらおう。


「…………ふむ」


まだ体に目立った変化はない。

お祈りをした時と同じ感覚。本当に力戻ってるのかな。

慣れるまで数日かかるとは言ってたけど、もう少し劇的に変化すると思ってたや。

さぁて、そうなると本格的にやることが無いぞ。

瞑想でもしてるか。


「ヒカル様」

「入って」


丁度いいタイミングで来てくれた。

流石僕の付き人、ってその猫みたいに首掴んで持ってきたのは誰。そんな持ち方しない方がいいんじゃ……。


「部屋に侵入しようとしていたので1度眠ってもらいました」

「まだ懲りてなかったのか」

「昨日からずっとですよ。……まぁおざなりにも程がありますが」


エモルドゥが実力者ってのもあると思うけどね。

どうやら気付かないうちにしっかり守られてたみたい。

魔力が使えないんじゃ本当に無力だからな、僕。ありがたい話だ。


「ここに来たってことは、もう掴めたんだ」

「はい。既に当主様へ報告してあります。早ければ今夜にでも」

「分かった。父上にはまだ待つように伝えておいて」


僕たち、と言うかお父さんが治めているこのエクスウェル領は宗教の自由を認めている。

誰が何を信仰しても良いし、誰が何を布教しても良い。

ただその活動が原因でトラブルが発生した場合はそれ相応の対価を払ってもらう。

西方から凄い勢いで広がったヒナタ教は、色々と怪しい噂でもちきりだった。

まぁ、教えの中に黒髪を忌むべきなんてのを掲げてる宗教が僕のいる所でただ普通に布教しているだけというのも考えてみればおかしな話だ。


「証拠は掴んである。領民にまで被害が及ぶようだったらアウトだけど、僕を狙うだけなら放置でいい」

「しかし……」

「まだ確実って訳じゃないけど、嬉しい報せも届けられそうだしね」

「それは」

「失礼します。ヒカル様、パスター司祭がお呼びです」

「分かりました。今向かいます」


さて、ようやく話がまとまったらしい。

忌むべきはずの黒髪を持つ人間が、自分たちの信じる神から祝福を受けた気分はさぞ複雑なものだろう。

どんな対応をしてくるか楽しみだ。

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