神?とご対面
「で、ではこちらへ。扉が空いたらゆっくり前へ進んで下さい」
「分かりました」
それ以降は特に何も無く、サクッと行事の終盤まで行けた。
ご飯に毒を混ぜたり大人数の中で毒針を飛ばしたり、どうにも僕を殺す危害がないものばかり。
どうせやるならもっと殺意マシマシで来て欲しかったな。
「――では主が与えし天啓を授かる子供たちをここへ」
扉が開く。
中にいるのは全員ここの過激派教徒、という訳でもない。
ここは国の東側。領民たちは新しく流れてきた宗教を嫌うことなく受け入れている。黒髪は忌避すべきという思想は僕らの努力もあって疑問に思われているのは救いだ。
領民にすらそんな目で見られたらいよいよ動かざるを得なくなる。
市民の反乱も武力による制圧も良い事じゃない。平和が1番。
「……では、ここに祈るのです。我らが神の名のもとに」
「…………」
僕は神を信じてない。
こういった神頼みは尚更。ただ、ここは異世界だし僕は前世で神を名乗る奴に殺された。
少しだけ、ほんの少しだけ神って存在を認めていいと思ってる自分がいる。
『…………』
「……」
『――――――』
「ごめん、なんて?」
すっごい神々しいオーラ放って喋りかけてくれるのは嬉しいんだけどさ、聞き取れないのよそれ。
僕がわかる言葉を喋ってもらわないと。
そんな怒んないでよ。逆ギレじゃん。うわっ泣くのはもっとやめて!
『ゴホン。……――私は神でしゅ……』
「そうでしゅか」
『あーっもう! 人を馬鹿にしないでください!』
「人なんだね」
『あっ!? 騙しましたね!』
「勝手に騙されたんでしょ」
あー、なるほど理解した。
この子ポンコツだ。
『ポンコツじゃありませんよ、失礼なっ』
「どうみたってポンコツだよ……」
しっかしまたここはどこなんだ。真っ白な空間ってのはチェインちゃんと出会うところに似てるけど、ここはなんていうか、あそこより狭い気がする。
八畳くらいの空間。壁なんてないのにそう感じる。
そして目の前にいるポンコ……正体不明の女の子。
『改めて自己紹介を。ようこそ迷える子羊よ、私はヒナタ。民を光へと導く神様です』
「へ〜」
『興味無さすぎじゃないですか? 神様が目の前にいるんですよ?』
いや、まぁ……。うん。
『良いでしょう、そこまで言うのなら証明してあげます』
うわっ凄い目力。じゃなくて。
いきなり目をかっぴらいたところで何も無いでしょ。と言うか……もしかしてその目……。
『うん? おや……そうでしたか』
「今度は何」
『……改めてこんにちは。私は日向。影山 輝星くん、よろしくね』
…………わーお。
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