襲撃者、再び
「…………」
すやすや。質素ではあるけど全然過ごしやすい空間でよかった。
僕はしっかり寝てる。寝てるよー。
魔力が使えなくなって1番不便だったことは魔力視が使えないこと。
無意識に魔力視を使っている場面が多かったらしく、慣れるのに2年は掛かった。
でもおかげでいいこともあった。
魔力に頼りっぱなしの体を鍛え直すいい期間だったと思う。こうやって、人の気配に対して敏感に反応できるようになったし。
「チッ。運の良い奴め」
「わぁーびっくりしたー。あ、あなたは誰デスカー」
「お前が知る必要は無い。大人しく死ねっ!」
黒いフードを被っていて外見は分からない。
声もフィルターがかかってる感じだから誰の声とかは判別不明。
12歳になって順調に体が大きくなったとはいえ体型は僕が不利。本来ならね。
「ほっ」
「ぐぼあっ!?」
アホめ。
いくらなんでも隙を見せすぎだ。
「グフッ……ガキのくせになんつー力だ」
「た、たまたま拳が当たったなー」
「大人しく死ねばいいのによ!」
「だから隙だらけなんだって」
一応相手は武器を持ってる。
頑張って突き刺したら僕の体を貫けるかもしれないくらいの短いナイフ。
正直、魔物に比べたらオモチャだ。
「ぐ……くぅ」
「いくらなんでも油断しすぎじゃない?」
「何故だ……魔力は使えないはず」
ほとんど使ってないけどね魔力。
確かに、ほんのちょっぴりはつかってるけど。
それにしても、僕が魔力使えないこと知ってるんだ。へ〜。
「一応聞くけど、なんで殺そうとしたの?」
「ぐあぁあっ!」
うん、ちゃんと効いてる。
魔力が使えなくなっただけで、体内の魔力はしっかり存在している。
それどころかあの呼吸法とかは全然使えるくらい。
だから僕の体内にはあの頃より遥かに多い魔力が蓄えられている。
それが原因なのか知らないけど、集中して一点に出力を絞れば魔力を放出できるようになった。
「次は左ね」
「ぐうぅ……聞いてた話と違うぞ」
「誰から何を聞いたか知らないけど、取り敢えず正当防衛ってことでっ」
これで腕は使えないはず。
僅かに扱える魔力で体の一部だけを集中的に強化すれば、大人の骨を折るくらいは出来る。
この効率化にどれほど苦労したことか。
さて、そろそろ騒ぎを聞き付けて誰かしら来るでしょ。
指差し確認、大事(予約投稿し忘れ)
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