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その後3



「でもその、瘴気? ってのは感じなかったけど」

「あぁ。恐らくヒカルを襲った魔物は瘴気を漂わせていなかっただろうな」

「それがむしろ、魔獣であることの説得力を増してる」


どういう事だ?

魔獣は瘴気ってやつを漂わせていて、それにグラルドさんは苦戦したって。


「我々はエルフと協力し魔獣の瘴気を払っている。その時に我々から察知されずに逃げたと考えれば……一応は納得が行く」

「なるほど」


お父さんたちが追い詰めた魔獣が逃げて先があの森だったと。

でもその話だと魔獣は複数体いることになる。てっきり一体しかいないと思ってたけど、結構な数いたのかな。


「念の為言っておくと、魔獣は一匹の狼だ」

「そうなの? 僕が戦ったの熊みたいだったけど」

「その他にも不可解な点が幾つかある。だからヒカルにはあの時のことを詳しく話して欲しいんだ」

「分かった。何から話せばいい?」


情報は大事だ。まだ数日も経ってないから覚えてるし、今のうちに共有するのは大事だよね。

大事だってのになんで2人ともそんな驚いた顔してるんだろう。


「……時折ヒカル様が大人に見えますな」

「まったくだ」

「よく分かんないけど、取り敢えず話すね?」


確かに、冷静に考えると不思議なことは幾つかある。

最初はモヤで姿が見えなかった事とか、変な魔力を漂わせていたこと、あとは一向に護衛の人が助けに来なかったこととか。

僕の護衛をしてくれる人達は凄く優秀だ。突然迷子になった僕を見つけることはそんな難しい事じゃ無いはず。

それに派手な魔法を使って場所が分かるようにもしてた。なのに来なかった。

まるで何かに阻まれているかのように。


「……ふむ」

「そう言えば、エルブロさんは何か言ってなかったの?」

「青旗騎士団長の事か?」

「うん」


だってエルブロさん、森に調査しに行ってたんだし。

彼ほどの実力者なら逃げてる魔獣を見つけられそうなものだけど。


「確かに……何も問題ないと報告を受けていたな」

「我々が森で遭遇したのは狼の魔獣。ヒカル様が遭遇したのは熊の魔獣……」

「瘴気か分からないけど、最初は変なモヤが掛かってて輪郭がぼやけてたよ」

「ふむ……」


これは……色々と複雑そうな予感。

魔獣じゃなかったのかな? でも普通の魔物とは違ったし。

エルブロさんでも見破れない隠れ方が出来るって、相当凄いよね。

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