助けに来てくれた
「ふぅ……ふぅ……ふぅ」
コイツとの戦いは終わった。
僕の勝利だ。
ありったけの身体強化で体を守っていたとはいえ、ヤツの最後の力を振り絞った攻撃は僕に相当のダメージを与えた。
僕は魔力を使い切ったししばらく動けそうにない。
結局あれからどれくらい時間が経ったんだろ。ぜんぜん人来ないけど。
「っヒカル様!」
噂をすれば。
なーんで戦いが終わったあとに来るかね。もう少し早く来てくれればってニャシー!?
来てくれるのはありがたいけど危ないって。
危険だから離れて、って言いたくても声が出ない。
右肩からズバッと爪でやられたからなのか、喉にダメージが言ってるらしくて喋れない。
「ヒカル様!ヒカル様!ご無事ですか」
「ごふっ……」
「あぁ……こんなに血が出て……」
ニャシー、落ち着いて。
くそ声が出ないと不便だな。護衛の人が来てくれればいいんだけど、ニャシーはただの一般人だから弱い魔物でも危険だ。
今の僕じゃそんな弱っちい魔物も倒せない。
「直ぐに人が来ますから。もう少しだけ頑張って」
僕のことより自分の心配をしてほしい。
一応まだ身体強化は発動できる。そこら辺の魔物相手なら致命傷を貰うことは無いはずだ。
「グ……グル、ルゥ」
「!?」
あーもう最悪だ。
ちゃんとトドメ刺したと思ってたんだけど。しぶとい野郎だまったく。
さすがに瀕死だろうけど……まずいな。
「に、逃げ……て」
「大丈夫。ヒカル様は私が守ります」
待って待って駄目だニャシー。早く逃げてくれ。
僕なら大丈夫だから。
「グラララララァ……」
「きゃっ」
「ニャしー」
くそ、ホントに全然動けない。
でもコイツの狙いは僕だ。このままあと少し耐えればなんとかなる。
ニャシーは……動けそうだね。
「ニャシー……僕は、だい、じょぶだから……助け、呼ん、で」
ほら、相手は僕だ。かかってこい。
「グラァガァ!」
勝負は一瞬。
コイツの爪が僕に届く瞬間に今出せる全力の身体強化で身を守る。
この一瞬さえ防げれば僕の勝ち。
「来いっ」
「ヒカル様っ!」
あぁ、やけに目の前の光景がゆっくり感じる。
これが走馬灯ってやつ?
僕は死ぬ気全然ないんだけどな。これだけスローならタイミングは余裕で合わせられる。
待って、ダメだってばニャシー。なんでそこにいるの。
なんで僕を庇おうとしてるの。僕は大丈夫だから自分の命を大切にして。
ニャシー!
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