ギリギリの決着
「グラァ!グラァ!グララァ!」
「ほっ。よっ。ほいっと。【水槍】!」
僕とコイツの戦いはほぼ互角。……今のところは。
僕の魔力は徐々に減っていってる。確実に。
だけど目の前のコイツは分からない。そもそも攻撃の原理すら不明だ。
何故か僕の魔力視でコイツを見ても何も見えない。
魔力が無い訳じゃないと思うけど、ともかく敵がどれほど疲弊してるかは不明。
自分の魔力の減りだけをじわじわ感じてる現状は精神的に宜しくない。まだ冷静でいられるけど、焦りは感じてる。
「グ……ラァ!」
「ふっ! 【水槍】!」
「グルルゥ……」
「……へっ」
わざわざタメを作って放った大技。
ちゃんと警戒してたから回避出来たけど、あんな隙を承知の攻撃をするってことは……コイツも焦ってる。
よし、僕は冷静だ。
敵もちゃんと疲弊してる。あとは消耗戦。
先に焦り馬鹿な行動を起こした方の負け。
■ロ■ロ■
「はぁ……はぁっ……はぁ」
「グルルゥ……」
くっそー。しぶとい。
互いに相当消耗してる。今は気合で何とかなってるだけだ。
もうそろそろ魔力も少なくなってきた。
コイツもそろそろガタが来そうになってる。その隙をつきたいけど、それはお互い様のはず。
今まで通り。勝負には出ない。
「グラァ!」
「ふっ」
攻撃が大ぶりになってきてるおかげで避けやすい。……僕の足がちゃんと付いてきてくれればだけど。
「【水槍】!」
「グルゥッ!」
最初は受け止めていた僕の水槍を避け始めている。
そんな体力があるのかって驚きはあるけど、避けなきゃ行けないと思わせるくらいには削っている。
一進一退。どちらも負けられない戦いって感じ。
……どうしよう、死ぬかもしれないってのにちょっと楽しい。
「お、っと」
まずいまずい。
そろそろ本格的に体力が無くなってきた。
こんな時に転んだら……あ。
「グラゥアゥ!」
「うぐっ」
そりゃそうだよね。絶好のチャンスだ。
そう来ると思ってた。
「グ、グルルゥ……」
「へ、へへ……【水槍】っ」
この状態を打破したいと思ってくれてて良かった。
焦って僕を攻撃することに集中したなバカめ。
ま、僕も小さくないダメージ貰ったけどね。肉を切らせて骨を断つ、だ。
ありったけの魔力を込めて放った水槍だ。
これで、勝負アリ。
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