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魔眼



「はっはっは! それでお前、9つも年下の弟に本気で一撃浴びせたってのか!」

「何度も言わないでくださいよ」


あの後、僕は何とか耐えたんだけどお兄ちゃんが狼狽えちゃって、ちょうど話し合いが終わったらしいエルブロさん達とバッタリ顔合わせ。

頭を抱えて泣きそうな僕とその周りでオロオロしてるお兄ちゃんを見て状況をすぐに判断したエルブロさんはご丁寧に僕のことを治療をしてくれたと思ったらこうやってゲラゲラとお兄ちゃんを煽って笑ってるという訳だ。


「くっくっく。“天才”が追い込まれるとはな」

「前から言っているでしょう? ヒカルは天才なんです。僕とは比べ物にならないくらい」


お兄ちゃんに褒められるのは嬉しいけど、ちょっとむず痒いな。

僕は前世の記憶とか諸々ズルしてる部分がある。でもお兄ちゃんはそんなもの無しに僕より強くなっている。

魔力視を使って改めてお兄ちゃんを観察すると凄まじい。

魔法使いであるお姉ちゃんと同じくらいにキラキラ輝いている。

魔力を普段から使う人や鍛えている人は魔力が眩しく輝いている。色は人によって違うけど、大体目とか髪と同じ色をしていることが多い。


「確かに天才と言えるかもな」

「僕が6歳の時なんか、妹ができたって浮かれてましたよ」


僕も6歳の時はそうだったと思う。

精神だけで言えば僕もう20超えてるからね。立派な大人よ。

体は……まだまだ子供だけど。


「ラフィンシェフをほぼ単独で倒したと言うのも頷ける。……魔法の腕もあるようだしな?」


エルブロさんのこの目。

僕のことを見通すような目は少し苦手だ。まるで内心の僕まで見られているようで不気味な感じがする。

……そう言えば初めて会った時も僕の魔力を感じ取ってたよね。

あれ、人の魔力って見えないんじゃ……。


「まさか」

「気付いたか? そうだ。俺は“魔眼”持ちだ」


そう言うエルブロさんの目は怪しい紫色に光ってる。

普段の真っ青な瞳とは違う妖艶な輝き。

リナ先生の火魔法を見た時も思ったけど。


「キレイ」

「あん? この目が綺麗だって?」

「うん」


青い火とか紫の目とか、いちいちカッコイイんだよなぁ。

僕も欲しいのに、前世と同じ黒髪黒目だ。この世界じゃ珍しいのかもだけど僕には見慣れた色でつまらない。


「ふっ。初めてお前たちを兄弟だと実感したよ」

「?」


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