悲しいお知らせ
「よし、概ね大丈夫だろう。解散!」
討伐隊は3日かけて無事に森を見回った。
絶対安心とはまだ言えないけど、概ね正常な状態に戻ったらしい。
けが人もいなかったし、大成功と言えるだろう。
エルピスはこの3日間ラファンに出会っては気合を入れて討伐を繰り返してた。そのおかげかもう怯えることは無くなった。
そして僕も魔物相手に魔法を使い、かなり実践的な経験が積めたと思う。
特に相手の数が多かったり知能がそこそこある魔物との戦いは参考になった。
「ただいま」
「おかえり。無事だったか」
「おかえりなさい、ヒカル」
家に帰ればお父さんとお母さんのお出迎え。
両親には感謝してる。まだ6歳児の僕を討伐隊に連れて行ってくれるのはこの2人のおかげだから。
……まぁ、ダメって言われても何かしらの方法で着いて行くつもりではあったけど。
「食事を用意させてある。今日は存分に飲むといい」
兵士の皆は凄く嬉しそう。
前世でも未成年のまま死んじゃったからまだお酒の良さは分からない。
早く大人になって飲んでみたいなぁ。
「ほらエルピス! ヒカル様! 行きますよ」
「え、僕もいいの?」
「討伐隊に参加したんだから当たり前じゃないですか! ほら早く!」
それじゃお言葉に甘えて。
後ろでニッコリ不敵な笑みを浮かべてるお母さんの姿は、一旦見なかったことにしておく。
■ロ■ロ■
「はぁ……」
「ため息なんかついてどうしました」
それから数ヶ月。
王様への報告も無事に終わり、魔獣騒ぎが完全に収まった頃。
魔獣が現れる前と変わらない日常が戻ってきてくれたのは嬉しいんだけど……暇だ。
特にこれといった変化が無い。
毎日鍛錬はしてるけど、いかんせん変化が薄い。
もっとこう、なんというか……目まぐるしい変化が欲しい。
なにか無いかなぁ。
「ほら、もうすぐルーク様が帰ってくるんだからシャキッとしないと」
「え!? お兄ちゃん帰ってくるの!」
「え、えぇ。騎士団の仮入団期間が終わって本格的に騎士団に所属することになったから挨拶にって……」
そんな……お兄ちゃんが騎士団に。
王都で働いてる青旗騎士団。そこに所属するってことは、簡単には帰って来れなくなる。
今まで学園に通っていたからしょうがないと思ってたのに、これ以上離れ離れが続くなんて。
変化は変化だけど、これは望ましくない変化が訪れてしまった。
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