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戻ってきた日常



「おかえり、お父さん」

「あぁただいま」


それからあれよあれよと数週間。

出発してから2ヶ月後にお父さんたちは帰還した。

死者無し負傷者多数。少なくない犠牲を払ってどうにか魔獣とやらは討伐出来たらしい。


「生きてたんだ」

「少しくらい心配してくださいよ」


だってここを出た時より元気そうだし。

グラルドさんが最初苦戦した要因は瘴気って言う魔獣特有の性質みたいなもので、それをエルフの人達に封じてもらったおかげでかなり楽に倒せたらしい。

討伐の証として牙を王様に献上するんだとか。


「ほぉー、これが」

「狼型の魔物で、これは右側の1番大きい牙だな」


1番大きいと言うだけあって、それは今の僕が抱えられないくらいの大きさだった。

牙の先端は白いんだけど、根元に行くにつれ赤黒く禍々しく色が変化している。

随分とまぁ禍々しい。

それにしても、だんだろう……この禍々しさ。妙に惹かれるというか。


「魔獣の体には瘴気がある。あんま見つめると正気じゃなくなりますよ」

「しょうきだけに?」

「なっはっは。冗談が言える元気があるなら平気そうですな」


ちなみにエルフの人達は魔獣を討伐した後さっさと帰ってしまったらしい。

会ってみたかったのに、残念。

ま、これで一先ずは僕たちの街に平和が訪れたって訳だ。

自宅に戻っていた人たちも戻ってきてくれて、グラルドさんたちも無事に帰ってきてこれまで通りの日常がまた始まる。


「って、なれば良かったんだけど」


世の中そう上手くは行かない。

魔獣が残した傷跡は相当に大きくて、居座っていた影響で森の生態系が大幅に崩れた。

その結果森の浅い所でさえ強い魔物が現れ、普段と違うナワバリを主張する魔物同士で争いが起きている。

その争いを止めて森の生態系を正す為にまたグラルドさん達が仕事することに。

暇だし森の魔物くらいなら倒せるんじゃ、ってことで僕も参加した。


「あまり狩りすぎるなよー。あくまで生態系を元に戻す目的だ」

「はーい」

「まるで遠足だね」


実際、強い敵はグラルドさんが倒してくれている。

配布された森の生態マップを参考にして適してないエリアにいる魔物のみを討伐する。

例えば……。


「あ、ラファンだ」

「うげ……」


ラファンは一撃で倒せた相手だ。油断しなきゃ大丈夫。

ただエルピス君は苦手意識があるみたい。

なのでここはエルピス君にお願いしよう。


「頑張って」

「う、はい!」


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