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塵も積もれば─



「無理ですね」

「んなっ!」


まだ何も言ってないのに心を読まれた。


「ヒカル様は中級魔法を使えますか?」

「……習ってないけど」

「その年齢で初級魔法を習得しているのは充分凄いことです。ですが、まだ幼い体で型を使うとなると大人以上に負担がかかります」

「さっきは初級魔法使えたらできるって言ってたのに」

「ぼぼ同義です。得意属性の中級魔法を1つ習得する必要があります」


そんな。

火水土風の初級魔法なら習得してるけど……。

中級魔法の習得はリナ先生にも止められてるんだよね。

となると型はお預けかぁ。

悲しいけど諦めるしかない。


「型は強制的に体を動かす魔法ですから可能な限り使わない方が良いです。その為にも体を鍛えないといけません」

「結局そうなるのか」


でも正論。

確かにあの時の動きは変だった。体に負担があるのもうなずける。

だったら使わざるを得ない状況にならないように体を鍛えるのは納得だ。

でも使いたかったなぁ型。


「うわっ」

「ほぅ、これを避けますか。流石ですね」

「そりゃどーも」


この前の仕返しか? 不意打ちなんてしやがって。


「今日は負けないからな」

「受けて立ちますよヒカル様」


■ロ■ロ■


「……ズルい」

「戦いにズルいも何もありませんよ」


あんなに型を使うのはどーのこーの言ってたクセに最初から最後までずっと型で対応しやがって。

全然歯が立たなかった。

型、強くない?


「ヒカル様の身体強化はとても強力ですから。相手の力が大きいほどこちらの返しは強くなります」

「でも弱い力で攻撃する訳にも行かないでしょ?」

「勿論です。そこは……技量ですね」


うーん悔しい。

あの型を無視できるくらい強くなりたい。


強くなりたい、って思ったところで急にポンっと強くなるわけじゃない。

結局は日々の積み重ねだ。

毎日毎日同じ事をやって少しづつ強くなっていく。

変化があったのは数週間経った頃。

ついに魔獣が討伐されることになったのだ。


「では行ってくる」

「……行ってらっしゃい」


エルフ、見たかったなぁ。

当主であるお父さんはエルフと合流し直ぐに魔獣がいる森に向かうらしい。

本音を言うならついて行きたかったけど、危険なのは分かってるしわがままは言えない。

だから家でお見送りだ。

でも魔獣が討伐されればグラルドさんたちは戻ってきて普段の生活が帰ってくる。

そうなれば色々とやれることは増えるし、それまでの辛抱だ。

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