寝返り一つも大きな試練
寝返りが打ちたい。
いきなりだけど、寝返りが打ちたい。
いや、特に理由は無いんだけど。
ここ数日は平和だった。
運動して体の中のヤツを練り練りして散歩してお乳を貰って運動して寝て遊ぶ。
特に変化も無く過ごしてたんだけど、とうとう我慢出来なくなった。
乳母さんが様子を見てくれるし、最近はよくお兄ちゃんが遊びに来てくれるからまだマシだけど、暇だ。
何が暇って、天井を眺めるのに飽きた。
寝返りを打って視界の変化が欲しい。
と、言うことで絶賛練習中なんだけど……。
「~ロ∬ЫỦ╬」
寝返りを打とうと足を上げると、それを構って欲しいと思ってるらしいお兄ちゃんに遊ばれてしまう。
ダメ!とか思えば良いんだろうけど、一回それをやったら世界の終わりみたいな絶望感漂う顔をされたので出来ればしたくない。
それにお兄ちゃんと遊ぶのは楽しいのだ。
物ではなく人と遊ぶことで、モヤモヤを練りながら動く練習が出来る。
何の意味があるのかはサッパリだけど、何となくやっておいた方が良さそう。
かなり長い間遊んでると、お兄ちゃんは誰かに呼ばれてこの部屋から出て行く。
毎回その時に今生の別れみたいに悲しそうにするもんだから謎の罪悪感が凄い。
……さて。
お兄ちゃんが居なくなった今が寝返りを打つ絶好のタイミング。
足をグイッと回して、肩を持っていく。
自分の体に潰される手を抜けば打てる……はずなんだけど。
力みが足りないのか上手くいかない。
せいぜい横に行く程度。下を向くのは先が長そうだ。
しかし諦めては何事も達成出来ない。頑張ろう!
■ロ■ロ■
む、難しい。
いや、難しいんじゃない。勢いがどうしても足らないのだ。
何かこう、もう一息があれば良いんだけど。流石に疲れたから今日はもう終わりにしよう。
と思ったらこの音。
「¬ЬЫ㎈╬!」
「あー」
お兄ちゃんキタ!って……あれ?
寝返り、打てちゃった。
タイミングバッチリだったな今の。ほらもうお兄ちゃんが泣きそうになってる。
お兄ちゃんが来た喜びで勢いがついて寝返りが打てた、らしい?
……いつの間にそんなお兄ちゃん好き好きっ子になったんだ僕は。
でも撫でられると気持ちいいのは確かだし、なんでもいいか。
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