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盗み聞きってちょっと楽しいよね



「確かに魔獣なんだな?」

「……あぁ。文献と特徴は一致する。それに、あの異質な感じは魔物じゃない」


外に行くとは言ったけど、聞き耳を立てないとはいってない。

ちーっちばかし聞かせてもらおうじゃないか。


「瘴気か……厄介な」

「死者こそ出なかったが、こっちは全員重症。そして奴は腕1本の損傷。割に合わん」


ほぁー。

まさかの全滅。しかもグラルドさんたちが。

全員重症って……どんだけ強いんだその魔獣とやら。

ダメだ。イケナイことだけどワクワクする。魔獣見てみたい。

グラルドさんに手も足も出ない僕が挑んだところで勝てる見込みは無い。

それは分かってるけどこの目で見たい。そしてあわよくば交戦したい。


「幸か不幸か、奴は依然として森に籠っている」

「魔獣の事は既に王へ伝えてある。アルフヘイムから応援が来るのもそう遅くは無いはずだ」


アルフヘイム?

初めて聞いた言葉だ。応援ってことは機関か場所のことかな。

話の流れからすると聖職者とかの部類だろう。


「アルフヘイムから? あそこは国交を断ってるんじゃ」

「ほとんど断絶状態だが……魔獣等は特例となっている。瘴気の類はエルフにとって必ず滅ぼすべきものだからな」


なんと。エルフのお国でしたか。

流石ファンタジーな世界だ。エルフが実在してるとは。

会ってみたいなぁ。

やっぱり耳とか長いのだろうか。色白で金髪で、弓使いで……想像だけでワクワクする。

国交を断ってるのも、魔獣とやらを追い掛けてるのも気になる。魔獣を討伐しに来るんだよね、エルフ。

やっぱり会いたいな。そして色々聞きたい。

でも、今の僕じゃあな……。


「彼らの時間感覚からして、およそ1週間から1ヶ月。それまでは我々で魔獣をどうにかしないとならない」

「あぁ。今新しく部隊を組ませている。明後日には出発だろう」

「すまない。頼む」


ふむ。相当な一大事っぽいな。

なにか手伝いが出来たらいいんだけど、僕にできることって初級魔法使うくらいだし。

それより早く移動しなきゃ。話が終わってお父さんが外に出たら盗み聞きがバレちゃう。


その後、お父さんからは特に何も無く3日が過ぎた。

魔物の討伐という名目でグラルドさんたちは再度あの森へと出発した。

今度は無理に戦わなくていいとはいえ、危険な相手。無事に帰ってきてくれることを願ってる。……たったの3日で全治してたから心配ないとは思うけど。

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